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第44話 陽一サイド<出店希望者たち>
「それでは皆さん、まだお時間がありますか?中をご案内しましょうか?
あるいは質問の時間にしましょうか?」
サッと手が上がった。
「すみませんが、中は大体分かったので、ご説明をお願いしたいです」
「はい、では皆さんをうちにご案内しますので、どうぞいらしてください」
由紀さんに電話した。
「今20名ほど家に行きます」
「はい、もうご用意しております」だって。さすがだね。
そして皆さんにリビングに入ってもらうと、テーブルが最大限伸ばされて、折りたたみの椅子もありったけ出して用意されていた。
「皆さん、どうぞお好きなところにおかけください」
ホワイトボードまでそばに用意されていた。
俺はパソコンを出して、財団の説明書を人数分コピーして配布した。
家政婦さんたちがどんどんアイスコーヒーを出してくれた。
「ではまず質問をお受けします。皆さん、どうぞご遠慮なく聞いてください」
男性A「全国チェーンのドラッグストアをやっています。勝手に現地にお邪魔してすみません。
HPを拝見して、ミツワの関連で財団を作られたことは知りませんでした。
それで、クリニックも併設されることで、大体の購買力といいますか、数字的な見込みを知りたかったんです。
出来たばかりで患者も少なく、利益がペイできそうにない場合ですと、薬局やドラッグストアの建物を誰が建てるのか、内装は誰が持つのか、その運営はどこが任されるのか、などですね。
話が原点に戻るのですが、その辺から具体的なことを知りたいのです」
頭の切れそうな男性だった。
名刺を再度確認した。関東地区・店舗推進室・室長だ。
「はい、分かりました。皆さんも同じ質問でしょうか? 同じなら挙手をお願いします」
全員だった。小林さんの顔を見ると頷いた。
「私は立花家の執事の小林です。財団では総務課長をしています。
確かに初期はガーデンのお客さんが多いと思いますが、患者さんはそれほど期待できません。
だから長い目で見てほしいと思います。
ペイできそうにないなら、建物はすべてこちらで建てます。内装はご希望通りにしましょう。
人材が必要なら、うちで採用します。それでいかがでしょうか?
小さなドラッグストアを作ってもらえるなら、観光客や地元の人が買いたくなるものを少しずつでいいから置いてほしいのです。以上です」
しばらく他の人たちが黙ってしまった。
なんかにんまり? ほどではないが――でも急に皆さんの雰囲気が柔らかくなった。
そして、サッと手を挙げた人がいる。
B「うちは全国にドラッグストアのチェーン店を展開しております。
今許されるなら、ぜひうちに出店させていただきたいです」
自信を持って胸を張っていた。
次の人が手を挙げた。
C「待ってください。うちも全国にチェーン店を展開しています。うちも手を挙げさせてください」
A「いやいや、待ってください。全国チェーンならうちがトップです。
なるべくご希望に沿うようにしますので、うちにやらせていただけないでしょうか?」
D「うちも名乗りを上げます。ただし、建物を建てていただけるなら、内装はうちでやります。またスタッフも派遣しますし、調剤薬局の薬剤師もこちらで用意します。合わせて、店作りなどは慣れておりますので、ぜひやらせていただきたいと思います」
E「うちも建物だけお願いします。こちらは賃貸料をお支払いします。調剤薬局とドラッグストアの内装はこちらでやります。人材もお任せください。営業時間はそちらにお任せします。ぜひお願いします」
……うわ~、困った。
小林さんや山川弁護士の顔を見ると、なんだかニヤニヤしていた。
「どうしたらいいですかね?」
隣の2人に聞いた。
山川弁護士が、
「それでは、もっとはっきりとしたこちらの希望と、できる条件を文書で提示します。売り上げについては全く不明になりますので、その辺は事前にご承知願いたいと思います。
それで、皆さんが具体的に何ができるのかを文書で返信いただければ、こちらで検討させていただきます。
それでよろしいでしょうか?」
さっきまでは空気が殺気立っていたが、しょうがないと思ったのだろう。
「はい」と皆さんが返事をしてくれた。
しかし、俺はどうしても確認したいことがあった。
「あのう、仕事でいらしたのは分かるのですが、ここに出店したい理由をお聞かせいただけますか?
ここは駅前でもないので商売の条件は厳しいと思うのですが、ぜひ聞かせてください」
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