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第45話 陽一サイド<出店の理由>

出店したい理由を皆さんに尋ねた。 A「理由ですが、まず建物を建てていただけるという破格の条件。これが一番大きいです。それから集客の多さですね。それに店が小さいならそれほどのリスクはないです。 しかし、調剤薬局がペイするのかどうかは、長い目で見る必要があると思いました。 ただ、弱者救済の財団ですので、こちらも利益だけを追求することはできないと思いました。以上です」 「はい、ありがとうございました」 なんか半端だなあ……。 B「失礼ながら、ミツワさんが弱者救済の財団を立ち上げられていると知って驚きました。 うちは普通の会社ですから、利益がないことはできないわけです。 でも、こちらが社会福祉事業でされているし、建物を提供してくださるなら、あまり利益を追求しなくて済むので助かります。その分、長いスタンスで考えられます。以上です」 「はい、分かりました。ありがとうございます」 C「私もHPで確認して驚きました。思わず今日確かめに来たくらいです。 港区で1万坪って信じられないですよ。しかも利益にならない社会事業なんですよね。 この思い切りの良さに感銘を受けました。 しかも建物まで用意してくださるんですから、あとは全部お任せください。すべてこちらでやらせていただき、そしてここに長く根付くようにやらせていただきます。以上です」 「はい、ありがとうございます」 D「この素晴らしい土地に社会福祉事業の財団って、正直浮世離れしていて夢のようです。 そこで、わが社がどの程度お役に立てることができるのか? なのですが、ショップのスタッフは財団の方がされますか? こちらは店長だけを派遣しますので、他の販売スタッフは財団の方がなさってもいいですよ。懇切丁寧にお教えします。 店長も吟味して優しい人物を送ります。ただし短期間ですが、スタッフには研修がありますので、それは参加していただきたいです。調剤薬局は人材を送りますのでご安心ください。以上です」 「はい、分かりました。恐れ入ります。次の方どうぞ」 E「本当に夢のようだと私も思いました。ここまで力を入れるのなら、建物も内装も什器も財団で全部お願いできますか? 賃貸料はお支払いします。そうすれば利益追求をほとんどしなくて済みます。商品と薬だけを入れたら店作りはします。調剤は教育した人材を送ります。 ショップは店長一人いれば、その指示で財団からスタッフを送ってもらい、一から一緒に店を作ることで連帯感を持てるし、お互いの理解も早いです。 弱者ということですが、初期投資が少なければゆっくりと丁寧に教えてあげられるし、体調が悪ければ休んでかまいません。こちらもゆったりと構えられるわけです。 おそらく、体調が原因で休みが多く、仕事が安定しない方が多いのかなと思いました。 都会の真ん中にこのような小さな町ができることは本当に素晴らしいことです。 店の名前も『未来ガーデン前店』のようにしたいですね。 できれば10年、20年のスタンスでお役に立てるなら、うちの会社にとっても稀有な例として経験させていただきたいです。どうぞよろしくお願いします。以上です」 「はい、どうもありがとうございました。 今のお話で、建物と内装、什器、設備はすべてうちの財団で作ろうと思いました。だからメーカーさん側の希望をどんどん伺って、ご希望通りに仕上げてもらいます。それで賃貸料をいただく形にしようと思います。リスクを最小限にとどめれば、長く続けていただけそうです。 スタッフについてはまたこちらで検討します。 では、他にご質問がありますか?」 誰も何も言わなかった。 「なければこれで終了します。また文書でお知らせしますので、どうぞよろしくお願いします。 本日はわざわざお越しいただいて、本当にありがとうございました」 そして、皆さんの車が出るまで、皆でお見送りした。 それを眺めながら、小林さんと山川弁護士がなんだか微妙な表情で笑っていた。 「また建設しないといけないですね。未来さんはやってくれるかな?」と小林さん。 「いや、それは大丈夫でしょう? 向こうもお抱えの建設スタッフがいるはずですよ。要はお金だけ払えばいい気がしますね」 と山川弁護士。 「山川先生、文書作りをよろしくお願いします。それと賃貸料を決めないといけないですね」 「それは相場を見ますよ。それと初期の1年は、安めに設定しないといけないかもしれませんね」 「まあ、これで調剤薬局が決まりましたね。ドラッグストアもできれば、皆も随分助かると思いますよ」 と小林さん。 彼もホッと肩の荷が下りたようだった。 「最後の方がおっしゃったように、財団のスタッフを送りましょう。 向こうよりもうちの方が福利厚生が手厚いと思いますよ」 と俺。 「ああ、それは絶対そうですよ。最後の方は中々良いことをおっしゃっていましたね?」 と山川先生。 「結局どこがいいと思いましたか?」 気になって聞いてしまった。 「最後がいいと思ったのですが、しかし会社ですからね。彼らだけでは決定できないはずです。上に上げた段階で話が変わる恐れもあります。油断しないで、決定するまでは様子を見ましょう。 それと、派遣された人材が本当に良い人なのかどうかは分かりませんよ。実際に来たスタッフをじっくりと観察しないと、最後まで安心できません」と弁護士。 ふっと笑った。 山川弁護士は石橋を叩いても、まだ渡らないかもしれない。 「そうですね。その通りですね」 この人たちがいれば安心だ。

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