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第46話 楓サイド<コーディネーター>
陽一兄さんから頼まれた。友則さんに聞いてほしいって。
イタリアに住んでいる日本人女性で、ショップの買い付けをしてくれるセンスの良い人を紹介してほしいんだって。
そんな人いる??
友則さんに聞いたら、燃えたらしい。
「任せて。探してあげるけど、もっと仕事の内容を聞かないとね」と言ってくれた。
それで今日は二人で仕事を早めに終えてミツワに行った。
会議室を覗くと、皆さんがすごく忙しそうにしていた。
「ああ、友則さん、わざわざすみませんね」と兄さん。
私たちが来たから、皆さん一斉に手を止めて会議が始まった。
「実はガーデンに出すショップなんですが、イタリアの小物を置きたいんです。
皮製品もいいし、置物や絵皿や袋物、ベネチアグラス、エプロン……まあ、色がきれいで楽しくなるようなものを選んで日本に送ってほしいし、こちらもリピートして注文したいんですよ。
そういう細かいフォローをしてほしいのですが、適任者がいますか? 日本人女性が良いんです」
「ああ、なるほど。イタリアにも日本人会ってあるんです。
そこにメールで問い合わせすると確実に皆さんに届きます。
ただし、SNSで呼びかけてもいいけど、これはちょっとリスクがあります。
インスタならまだいいかもしれません。
それと通訳の方にコンタクトを取ったらどうでしょうか?
案外知っているかもしれないですよ。
私は個人的には皮製品の伝手しかないので、その方面ならお薦めできますけど。
その時は私がズームでやり取りしますよ」と友則さん。
「ああ、なるほど。ズームなら向こうに行かないで済みますね。
では皮製品はお願いしようかな。ズームでいろんな商品を見せてもらえますよね?」
「はい、それは事前に話しておけば向こうも用意しますよ」
「実はね、そのショップには優秀な店長を迎えたいんです。凄腕が良いんです。一からそのショップを作ってほしいんですよね。多分、オープンしたらごった返すくらい混むと思うんですよ」
「わ~、そうなんですか。う~ん、ちょっと待ってください。凄腕の人ねえ。
知り合いに優秀なスタイリストがいるんです。
30代の中頃かなあ。よく海外に行っていろんなものを探してくる人なんですよ。紹介しましょうか?」
「それは有望ですが、一から店作りをやってもらわないといけないし、スタッフも4人くらい予定していて、教育もしてほしいし、予算や実績などもやってほしいんです。そんな忙しい店をお願いできるものですか? 縛られるでしょう?」
兄さんの要望は色々と厳しいんだよな。
「ああ、そうですね。僕に今の仕事がなければ、ぜひやらせていただきたいところなんですけどねえ」
「え?友則さんのお父さんに怒られますよ。(笑)
それとね。ナポリで食べたピザが美味しかったじゃないですか? カフェにピザ窯を置いて、ナポリのピザを出したいんです。そういうピザ職人を知らないですか?」と兄さん。
「ああ、そうそう、すごく美味しかったですよね。僕も忘れられません。
その辺も知っているかどうか、聞いてみますよ」
わー!ナポリピザが食べられるぞ!
「ありがとう、お手数をかけてすみませんね。
それでは他の皆さんはご質問や意見はありますか?」
「はい」と手を上げた広報の小松さん。
「店に出すなら、リピートができるものがいいと思うんですよ。
あとは商品のカタログですね。写真と商品番号と参考になる納期。それと見本の写真付きリストがあるといいですけどね。
それに商品の材質とサイズですね。
もしかしたら単一で選べないアソートセットになっている商品も、あるかもしれません。
あとは陶器類だったら、重さが必要だと思います。
それと注文するなら、1種類につき20個のようにしたいのですが、もしかしたら入れ子のように同じ柄が大中小と収まっていて、それで1セットという注文かもしれないですよね?」
なるほどねえ~。考えたこともないわ。
「ああ、確かにそうですねえ。ただ手作りだと多少のばらつきはあると思いますね。
色もそうですが、日本みたいにきちんと揃えるのは、難しいかもしれませんよ」と友則さん。
「はい!」と今度は岡本さんが手を上げた。
「品質ですが、生地を輸入して日本で頼んで、袋物などは作ってもらっても良い気がします。
洋服のサイズも日本人向けの方が良くないですか?」
「ああ、なるほど、確かにイタリアは大きい女性が多いですからね」と友則さん。
今度は山下さんが手を上げた。
「イタリアの物だけでなく、日本のセレクトショップのようにすれば、入荷状況が安定すると思います。
完全にイタリアものばかりにすると、品薄になった場合に墓穴を掘らないでしょうか。
商品は十分な在庫と、限定数ならあと何個あります、なんて表示をしてもいいですよね。
それと数をたくさん頼んでも、他にいくらでも注文に応えられる品を、何種類か用意すると良いと思います。
ほら会社関係のお土産とか、1000円とか2000円で買えるものも用意すると良いですよね?」
友則さんがくすくす笑っていた。
「いやあ~、これねえ。広報の皆さんがショップをやった方がはるかにいいですよ。お義兄さん、そう思いませんか?」
「だねえ」兄さんも笑っていた。
私だってそう思ったよ。
「皆でショップをやってもいいよ。どうする?」
広報の人に兄さんが聞いていた。
「わ~どうしよう。私やりたいけど__どうしよう……?」と困っている岡本さん。
「じゃあ、ショップをやりたい人、手を挙げて!」
そっと、上げようか引っ込めようかという、迷った手が二つあった。
岡本さんと小松さんがやりたいらしい。
「二人で共有してやってもいいじゃない? スタッフをリードすればいいんだから。スタッフは3人~4人は付けますよ。教えてやってください。まあ広報のスタッフなら何も問題ないし、よそからリーダーを呼ぶ必要もないです。ちょっと考えますか?」と兄さん。
「はいっ!」と二人から返事が来た。
「じゃあ、小物のショップのリーダー募集は保留にしましょう」
結局、広報の人たちは器用というか、優秀過ぎるんだよね。
なんでも思いついちゃうんだもん。
私は何にも思いつかなかったから、意見も言えなかった。
悔しいけど畑が違い過ぎるんだもん。
さて、これはどうなりますかねえ。
私はくっついて行っただけなんだけど、全く役立たずだった。あ~あ。
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