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第51話 碧人サイド<夏休みの仕事>
昨夜の夕食時に、院長先生から財団の状況説明があり、全員がそれに耳を傾けた。
今まで財団の詳細な話は、まだ聞いていなかった。
正直、矢のように状況が進んでいて、頭が追いつかない。
呆然とその話を聞いていると、俺の不安を察したのか、先生がふっと声を和らげた。
「明日ですが、支配人になった白川さんと、加護さんを夕食にお連れします。
皆、早めに帰宅してください。その時に皆さんを紹介します。
疑問点などあったら、その時に質問してね」
先生はほとんどの仕事を支配人に振ってしまったらしい。
俺達って、これからどうなるんだろう?
どこまで話が進んでいるのか、全然分からなかった。
それで帰宅前に、里奈ちゃんや陽菜と駅前のマックで待ち合わせをした。
店に入ると、すでに二人が席に座って待っていた。
「今日は学校、大丈夫だったの?」
陽菜がストローをくわえながら首をかしげる。
「おう、任せとけ」
「ねえ、話ってなあに? 何か問題でもあったの?」と里奈ちゃん。
「あのさ、先生が白川支配人に全部仕事を振ったらしいじゃない?
俺達のことも引き継がれているのかな。
オープン前に俺は入職するけどさ、なんかすぐにでも仕事に参加しないと、えらく情報に置いて行かれる気がするんだよね」
「そうだねえ……あり得るかも」と里奈ちゃんが腕を組む。
「まあ、それはしょうがないんじゃない? やってもらえばいいのに」
陽菜が諦めたようにカップを揺すった。
「簡単に言うなよ……」
「だって、入ってからだって間に合うでしょう?」と陽菜はどこかのんきだ。
「だから相談なんだけどさ。もうすぐ夏休みじゃないか。
その間、財団の仕事を手伝わせてもらえるか聞いてみないか?
あとで支配人が来るだろ? その時にちゃんと考えを聞きたいんだよね」
今日はこれを相談したくて、二人をここに呼んだのだ。
「う~ん、聞いてもいいけどさ、私はまだ高校があるもん。
夏休みだけで何ができるのかな?
それに私はパティシエの専門学校に行かせてもらおうと思ってるから、財団に入るのはまだ3年以上先の話だよ」
里奈ちゃんは少し困ったように笑った。
「私はカフェに入りたいから、ドリンクや料理は勉強した方がいいと思う。できるかな?」
陽菜も、ようやく将来の希望が具体的に見えてきている。
「あ、それとさ、三谷華子ちゃんはどうなるの? 私と一緒に仕事したいって言ってるよ」と陽菜が付け加えた。
相変わらず友情が厚いなあ~。
陽菜は心配そうに眉をよせている。
まったく、華ちゃんとべったりなんだから。
「それならさ、近いうちに華子ちゃんも、先生と支配人に紹介しておいた方がいいと思うよ」
「本当? いつにしようか?」
「じゃあ、今夜のうちに言っておけばいいだろ」
「うん、わかった!」
それだけで、陽菜の顔にパッと安心の色が広がった。
結局、二人は夏休みにすぐ仕事を手伝う意思はなさそうだった。
しょうがない、夜に直接支配人に聞くしかないか。
俺たちは飲み干したカップをトレイにまとめ、早々に皆の待つ生家へと向かった。
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