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第56話 加護サイド<天使達の誤算>
財団は新幹線のようなスピードで進むから、聞くだけで目が回る。
白川支配人ってなんて頭が切れる人なんだろう。
疲れないのかな?
ホント、頭がくるくると良く回るわ。
付いていくのが大変だよ。
私には院長のおっとりがぴったりなのよ。
まあ、それはいいけどさ。
問題はクリニックと美容サロンだ。
爪ケアの人がまだ見つからない。
天使の中でもやりたい人がいなかった。
美容サロンもいないから、また募集広告を出しているところだ。
看護助手は天使の中に2名いたから、私が任されて教育をしている――と言いたいが、実はミツワの医務室に任せた。
教えるにも医療道具が何もないから、暇そうな医務室の男子ナースにお願いして、知っている限りのことを教えてもらっている。結構張り切っていたよ。
院長が、「うまいこと考えたねえ~」って笑ってた。
私も一緒に笑っちゃった。
本当は佐久間病院に修業に行かせたいところなんだけど、財団の天使だから一般のところはダメなんだよね。
理由があって来ているわけだから。
小児科専門医がようやく決まった。近辺の大学病院の人だ。
名前は浜岡律(はまおか りつ)先生。32歳だ。
イケメンとは言い難いけれど、なんだか真面目でひょろっとしていて、気の弱そうな雰囲気。
まだ若いのにさ、もう人間関係に疲れたって言っているんだけど、
”こっちだって知らないよ”と院長が言っていた。
もう私、吹き出しちゃった! アハハハ、おかしい! 向こうも笑ってた。
だけどうちのクリニックで、どこが人間関係に疲れるっていうのよ?
医者同士の接触があまりないし、大学のしがらみもないもんね。
院長は超やさしいしね。
しいて言うなら、代謝内科の宇津木涼介だな。あれは知らん。
まあ、癖の強いベテランナースは2階の皮膚科に追い出すしねえ。
それに小児科は1階にあるんだから、何も問題はない。
そして麗しい精神科医の光枝蓮(みつえだ れん)先生は、さっさとクリニックのオンライン診療のサイトを立ち上げてくれた。
仕事時間も自分で決めて、11時〜17時まではミツワでオンライン診療をするか、問い合わせを手伝う。
17時になったら、颯太さんと帰るか、タクシーで財団のホテルに帰る。
18時から21時まではオンライン診療だ。
しかもしっかりと自由診療で診療を始めてくれた。
自己管理のできる優等生だよ。
顔も良いからなあ〜。
ファンも……じゃなくて、女性の患者が付くよねえ。
どんどん診療をやってくれてる。本当にありがたい。
今の財団で稼いでくれてるのは彼一人だけ!
もう〜好き! こういう人。
黙ってやってくれるんだもん。本当に手間いらず。
ところでさ、支配人と広報二人が友則さんも一緒にイタリアに買い付けに行くんだって。
いいなあ〜うらやましい。
クリニックに買い付けなんて、ないもんね。(笑)
「お土産買ってきますから!」と小松さんたちが言っていた。
そういう慰めの言葉は耳に入らないんだよなあ~。
そうだ、ファンクラブの仕事を希望する天使が4人もいた。
そこで支配人が彼らに言い放った。
「ファンクラブの仕事は、主に荷物の整理と配送だから、相当練習が必要です」
「え?」と皆あんぐりと口を開けたままだった。
だって、何をするつもりだったのよ? いい薬だ。
院長も顔を横に向けてくすくすと笑っていた。
私もね。ふっ。
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