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第67話 陽菜サイド<相談>

 碧ちゃんが「俺は社員寮に入るけど、陽菜はどうしようか?」って聞いて来た。 「どうしようか?ってどうすればいいの?」 そのまま聞き返した。 「陽菜は俺と結婚したがってたでしょう?直ぐにしようか?それとも少し仕事に慣れてからする?どちらでもいいよ。 ただ部屋がさ、結婚するなら最初から二人用の部屋を抑えておきたいじゃない? もし言わないなら陽菜だけ財団ビルの部屋に入ることになるよ。どうしたい?」 少し微笑みながら、やさしい眼差しを私に向けてくれた。 「‥‥‥あ、ありがとう。もしできれば一緒になりたいけど……でも、先生に言いにくいなあ」 なんか、ちょっと恥ずかしかった。 それに年齢的に早すぎるって言われそうな気がしていた。 「うん。分かった。じゃあ、それも含めて先生に一緒に相談しよう」 「うん。ありがとう」 そう言うと、碧人君が片手で私の頭をそっと撫でてくれた。 もうお兄さんぶってる。ふふ。 翌日、二人でミツワに行って、院長先生と加護部長に時間を貰った。 「あれ、わざわざここまで来て、どうしたの?」 いたずらっぽい笑顔で加護部長が私達を見つめていた。 「良いよ、話して。聞くよ」と院長先生が優しかった。 「あのう、もうお気づきかと思うんですが、誰にも言っていませんでしたが、俺と陽菜はずっと前に婚約しているんです。それで今度の社員寮なんですが、陽菜と二人で結婚して住みたいんです。 でも陽菜は財団ビルに住む方が安全なんでしょうか?それを伺いたかったんです。 もちろん来年二人とも卒業したら、すぐ入籍しようと思っています」 「わ~ロマンティックだねえ」 加護部長が驚いたみたいだったけど、笑顔を見せてくれた。 院長先生も目が柔らかく綻んでいた。 「ふ~ん、そうなんだねえ。おめでとう。全然かまわないよ。でも碧人君のお父さんにはまだ紹介していないんでしょう?」 「はい、まだ何も言ってないです」 「加護部長、部屋はどうしようかな?社員寮の2DKに住んでもいいけど、財団ビルの方が安全じゃないかなあ?」と先生。 「う~ん、もし財団ビルに住むなら、陽菜ちゃんは問題ないんですが、碧人君は宿直を兼ねた管理者のような役を引き受けてくれないと、二人で財団ビルに住むのはちょっと無理かなあ?」 加護部長がちょっと首を傾げて言った。 「そうだね。ただ宿直といっても、実際はナースも宿直するから、他に夜間のオンコールに応える管理者の男手は必要だと思うよ。 夜間は警備員やSPが宿舎のフロアには入れないからね。 だからいいんじゃないかな?」と先生。 「ああ、そうですね。夜間のオンコールに応えるだけなら、負担は軽いんじゃないかな?」と加護部長。 「はい、分かりました。それでも良いので、陽菜と一緒に財団ビルで暮らせますか?」と碧人君が尋ねた。 「うん、いいよ。二人で財団ビルで暮らすのは構わないよ」と先生。 「じゃあ、二人に2DKの部屋を抑えておきますよ。それは卒業してからでいいの?」と加護部長。 「はい、いいです。やはり自活できないと独立は無理なので」 碧人君が大人っぽく答えた。 私も当然だと思って、うんうんと聞いていた。 そこを院長先生が遮った。 「あれ、碧人君はバイトしてるよねえ?1万払えるなら、もう社員寮に移ってもいいんだよ。だって、まだオープンしていないから、人に見られる危険はないからさ。 財団ビルが出来るまでは社員寮に住んで、ビルが出来たらまた引っ越せばいいじゃない? ご飯は生家に来て食べればいいし、それに陽菜ちゃんも福祉から生活費を6万貰ってるでしょう?だから暮らせるんじゃない」 大胆にそう提案してくれた。 「わぁ、そうしていただけると最高にうれしいんですけど、いいですか?」 碧ちゃんが目を輝かせた。 ええ? 「院長、でも入籍すると福祉から生活費は出ないんじゃないですか?」と加護部長が心配そうに言った。 「まあ、それはそうだけど、でもゼロになるとは思わないよ。俺が診断書でも出して福祉の人と交渉するよ」 院長先生が心強いことを言ってくれた。もう本当にやさしい……。 そして更に先生が碧ちゃんに尋ねた。 「一度さ、碧人君のお父さんにはお詫びに行かないといけないって思っていたんだよね。ほら、最初に教授とかウソを言っちゃったからさ。 それとね、財団でも警備の仕事を募集してるんだけど、碧人君はお父さんとずっと離れたままで会っていないでしょう?お父さんに財団で仕事をしてもらったらどうかな?もし良ければなんだけどね。 今の3交代よりはずっと楽になると思う。もし通勤が不便なら、お父さんには社員寮に住んでもらってもいいしね」 「え、本当ですか?」碧ちゃんがすごい勢いで聞いていた。 「うん、もし興味があればお宅に伺って、詳細を話すよ。お詫びがてらね。陽菜ちゃんのことも紹介しないといけないでしょう?」 「はい、分かりました!そしたらすぐ連絡して聞いてみます」 碧人君がすごくうれしそうだった。 私、高校生でも結婚出来るかも! うれしいけど、まだ期待しちゃだめだよね?

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