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第73話 白川支配人サイド<お菓子の小屋>
院長が小屋を未来さんに頼んでくれた。
良かった!助かったー。
小松さんと岡本さんも本当にホッとしていた。
最初の計画ではイタリア菓子はちゃんと予定に入っていたんだけど、雑貨類を店に並べてみると、菓子類を並べる冷蔵ケースや棚などを置く余裕はなかった。
これは計算違い。……どうしようかと悩んでいた。
カフェに拝み倒して、置いて貰おうかな?なんて思っていた。
それにしても未来さんは仕事が早い。
どこからか大工さんを数人連れて来た。
デザインをして、出来上がったのは約1か月後。
そんなに早くできる?
それにしても、見た目がすごく可愛い小屋だ。窓も大きい。
赤い屋根で森の小人の家ってわけじゃないけど、誰でも中に入ってみたくなるようなかわいらしさだった。
「支配人、私、涙が出そうです!」と小松さん達が感激していた。
小屋には一応対面用のカウンターがあり、ガラスの冷蔵ショーケースがある。
壁には一面に箱菓子が置けるし、レモンそっくりのかわいい巾着袋に入った、レモンキャンディーは吊り下げられる。
これは小松さん達のアイデアだ。
レモンの木にレモンが生っているように展示できる。
スタッフの定員は小屋の中に2名。
外のカウンターに案内と手渡しに1名。
隣はソフトクリーム専用だ。作る人が1名。会計は自動でタッチパネルにする。
キャッシュレスのみ対応。それで外に案内と手渡しにスタッフが1名。
特筆すべきは奥のイベント用小屋だ。
院長が折り畳みにすると言っていたけど、全然イメージが湧かなかった。
出来上がってみると、それは木製の観音開きになっている。
正面の扉を左右に開けて、中の背板に天井に持ち上げる。
持ちあげたまま、左右の扉と天井をフックで固定する。
これで天井と左右の壁になるんだ。
ちょうどコの字型になる。
背中の壁には折り畳める棚板が2枚ほどある。扉の方も飾れるところがあった。
実に可愛い。他に赤い色のフックなどもいくつかあった。
そして床面にキャスターが付いていて、全部を折りたたむと、ガラガラと外部に移動できて、仕舞っておくことも出来るんだ。これは凄いよね。
中は椅子が2脚、作業用のテーブルとカウンターを置く。
ここは定員2名だな。革のイニシャルだけに使うのは勿体ない。
他のイベントにも使えると思った。
それにしても院長は不思議な人だ。
おっとりとしているかと思えば、とんでもないアイデアを出す。
う~ん、なんだろう?——まあ、いいか。
そして出来上がりの連絡を受けて、三上友則さんとお父さんが見学にいらした。
院長から紹介されてご挨拶をした。
買い付けの折には友則さんに大変お世話になったので、よ~くお礼を伝えた。
お父さんは恰幅が良くて、いかにも仕立ての良いスーツを着こなしていた。
親子で同じだなあ。
それがいかにも上品な銀座の老舗の大旦那様という貫禄を醸し出していた。
「ほう~めちゃめちゃ可愛い小屋ですなあ」
感心してその造りを眺めていた。
そして実際に扉を開いたり、たたんだりして試していた。
「うまい具合に出来ましたねえ~。うちの店も場所があれば、こういうのをやりたいですけどねえ」と大旦那様(笑)
院長も皆に褒められて、ニヤニヤとうれしさが隠し切れないようだった。
ついでにイタリア小物のショップも隅々まで眺めていた。
わー、こわいチェックだなあ~。
居心地が悪いったらない。
ふと見ると小松さんと岡本さんも緊張しまくりだった。
これって面接試験だよね?
なんかまるでうちのショップの社長か会長の視察のようだった。
圧倒的なオーラに僕は負けた。
所詮こっちは小物だったな。
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