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第78話 加護サイド<弱き社員たち>
次の面接者は経理財務の男性と女性だった。
先に男性を面接した。高見裕一さん。
「お早うございます。よろしくお願いします」
「財団を希望されていますが、何か特別に理由でもあるんですか?」と支配人。
「はい、実はあります」そこへ横から女性が顔を出した。
え?
「すみません。同じ経理の三好恵子です。二人で一緒にお願いできますか?」
いきなりのことで、皆驚いてしまった。
「実はですね。彼女と結婚したいのですが、もし今のまま報告すると、多分彼女が部署移動されると思うんですよ。
でも彼女は簿記一級を持っていて、仕事も良くできるんです。
それでどうしようかと悩んでいる時に、財団の募集がありました。
なんとか二人一緒に行かせていただけないでしょうか?
まあ部長がなんと言うか分からないんですが、お願いします。
二人とも引っ張っていただけないでしょうか?」
「はあ、そうなんですねえ。支配人、こういう場合って夫婦で同じ場所にいることはできないんですか?」
支配人に聞いた。
「ああ~それねえ、多分、無理ですね。だからよく分かりますよ。
逆に院長は、財団ではいいんですか?」
「ええ、全然かまいませんよ」
「だそうですよ」と支配人が二人に声を掛けると、すごく喜んでいた。
「待ってください。でも二人一緒には移動させないんじゃないですか?
だって経理が困るでしょう?」
私の懸念を話しておいた。
「ああ、それなんですけどね。最悪は二人で移動を申請して、一人だけと言われたら、先に彼女を入れてあげて欲しいんです。
その後は私が移動したいです。
もちろん一緒に移動できるなら、それに越したことはないんですけど」
「お気持ちはよく分かりました。後日また連絡しますね」
ああ~また皆でシーンとしてしまった。
「なんだかうちの会社って、ホントろくでもないな」
また支配人が漏らした。
「はいはい、次は総務の女性の二人ですね」
気を取り直さないとね。
「お早うございます。堂島幸子です。よろしくお願いします」
言ってるそばから、もう一人の女性が画面に顔を出した。
「勝手にすみません。同じ総務の岡野美奈です。よろしくお願いします」
ふふふと皆で頬が緩んでしまった。
「どうしましたか?」
「あのう私達、颯太さんの大ファンで、ぜひぜひ!ファンクラブや芸能部門の仕事をさせていただきたいんです。なんでもやりますので、ぜひお願いします!!」
二人で頭をペコリと下げられてしまった。
「あら、良いんじゃないですか?」
薦めておいた。
支配人を見るとへへらと笑っていた。
「はい、お気持ちは分かりました。後日の返事を待っててください」
それで終わった。
あ、部署が二人一緒に出て行けそうかどうかは聞かなかったな。まあいいや。
「まあ、次に行きましょうよ。今度は人事の男性ですね」
「お早うございます。よろしくお願いします」
穏やかそうな男性で、野島靖彦さんだ。
「財団をご希望されてますが、今の部署は抜けられるんですか?」と支配人。
「……そこなんですが、どうしても引っ張って欲しいんです。
部長になんと言われても、ぜひお願いします!」
深く頭を下げられてしまった。
皆で顔を見合わせてしまった。またか?
「やはり、人間関係がうまくいかないんですか?」と支配人。
「と、いうか、人事ってなんかおかしいです。
僕にはこういう人を査定するような部署は合いません。
おこがましい気がするんです。
その点、財団は公平です。ぜひ僕を引っ張って下さい。お願いします」
また深くお辞儀をされてしまった。
それで終わった。
ここいらで、もう疲れてしまった。
「ちょっと5分休みましょうよ」
声を掛けて、持参のクーラーボックスのドリンクを分けた。
なんか、疲れそうな気がしたんだよね。
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