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第80話 陽一サイド<魅力的なアプローチ>
次行きましょう。
今度は警備の――あれ?主任ですね。望月秀樹さんです。
「お早うございます。よろしくお願いします」
40代の初めか。落ち着いた静かな雰囲気の男性だった。
支配人が「望月さんは警備の主任なんですね。どうしたんですか?
せっかく役職があるのに、財団に来たら給料下がりますよ。良いんですか?」
彼が少し微笑んだ。
「はい。分かっています。ただ私は違う世界を見たかったんです。いつもと違う景色ですね。
財団にガーデンがあることは素晴らしいと思います。
それと私は空手が3段なんです。だから腕っぷしは強いです。
ぜひお仲間にいれていただけませんか?
ミツワでは3交代なのですが、財団ではどんなシフトでしょうか?」
俺が答えた。
「多分ですが、早出と遅出があるくらいですね。立花家には24時間SPが付いているんですよ。
ガーデンも財団ビルも監視カメラがいっぱいあるので、財団ビルの地下の管理室で日中なら1名か2名で見張っているくらいですね。
多分、夜間はないと思います。
あとは表に出てお客さんの様子を見たり、駐車場の管理をしたり、そんなに大変なことはないと思います。
ただ管理課にはすでに課長が決まっています。
それ以外の役職はちょっとまだ未定です。それでもいいですか?」
「はい、いいですよ。その辺は覚悟していました。それでもビル以外の空気を吸いたかったし、花は見たいし、違う環境に行きたいんです。同じミツワだから不足はありません。どうぞよろしくお願いします」
それで終了したんだけど、小林さんに「どうしましょうか?」と尋ねた。
「ミツワでせっかく主任になられたなら、継続でいいですよ。
空手三段なんて頼もしいじゃないですか?
管理課の課長は藤沢さんになりましたが、その下の主任にしたらいいと思います。
年齢的にも藤沢さんの方が年上ですからね。そうすれば休みの交代も出来ますよ」
「そしたら採用でいいですね?」と支配人。
「はい。結構です」で、決まったと。
「あとは管理部の2名ですね」
呼び出すと、また同じ画面に二人が出た。なんだよ。笑うよね。
「お早うございます。管理課の水野蓮太郎です。同じく管理課の佐伯守です。よろしくお願いします」
小林さんに声を掛けた「お願いします」
「はい、それではお二人が財団に来ると残りは何人になるんですか?」
「ええと、まだ8人はいます。シフト勤務なのでそれくらいは必要なんですよ」
「それで二人とも出ちゃってもいいんですか?」
「ああ、それは大丈夫だと思います。管理課って意外とやりたい人が多いです。
みんな資格をいっぱい持っていますからね。
我々も結構資格があるので、それを活かしたいと思います」
「ええとね、管理といっても、建物の修繕なんか入ると思うし、車の管理や、道具類の修繕も入るかもしれないし。管理とは関係のない荷物運びとかも入りますよ。良いんですか?」
二人で顔を見合わせていた。
「お安い御用です。なんでも言い付けてください。逆に新鮮です」だって。
ダメだ。二人とも来るって決めちゃってるな。
せっかく加護さんの真似したのにね。
まあ、それで彼らの面談は終わんだけど、
小林さんに「どうします?」と聞いた。
「こうなったら荷物運びと修繕をやってもらいますよ。本人たちが良いというんだから、手が足りないなら大物の配送もやってもらおうと思いますよ」
「あ、それいいですね」俺も賛成した。
「じゃあ、決まりですね」と支配人。
いよいよラスト、営業部2名だ。早瀬裕子・鴨宮奈津子。
二人を同時にズームに登場してもらった。
「お早うございます。よろしくお願いします」
「あのねえ、せっかくなんだけど、営業部の部長にすごく睨まれてるんだよね。
だから今以上に引っ張ることは出来ないと思うんだよ。ごめんね」俺が即断った。
「ああ、そうなんですか。……実はすごく決心して応募したんですよ。
営業の力が活きると思ったんですよね。
今の広報の山辺さんと八坂さんが財団を希望していますよね?
二人は応募したいと言ってました。
そしたら、その二人の抜けた後の広報に、私達を推薦していただけないでしょうか?
そして翌年に財団に行かせていただけないでしょうか?
あまり無理なことは言えないので、二段構えで待ちます。
そして最終的には財団に行かせてください。
私たちは出来れば、財団ホールの運営や企画、外部からの誘致、近辺のホテルからの誘導とコラボのセット企画などを立案したいんです。
あとは所属タレントの営業もやりたいんです。
タレントってこれから増えますよね?考えていただけないでしょうか?」
わあ、魅力的なアプローチをするよね?さすがに営業だよ。
終了した後に、支配人に褒めた。
「………全くねえ~」と笑っていた。
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