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第83話 加護サイド<財団ビル外壁の完成>
社長に財団スタッフの移籍を承諾してもらって、約1か月が過ぎた。
緊急度1の経営戦略室の日比野マネージャーは、一か月の休養を終えるともう財団に来るそうだ。早すぎない?
情報システム部の長野祐樹さんも、1か月の引継ぎ期間を終えると、もう翌日から財団へ来る。
二人共もう少しくらい休めばいいのにね……律義すぎるわ。
初出勤は我々の財団の会議室だ。
「お早うございます」と何となく照れ気味に来た二人。
揃ってやって来た。
私達は全員が会議室で早めに出勤して待っていた。
「ようこそミツワ未来財団へ!」
声を揃える練習をした甲斐があった。
何やってるんだか……でも皆で笑った。
そして二人が現われると拍手喝采で迎えた。
実は花束ならぬ、キャンディーを可愛く包んでリボンを掛けたものを用意していた。
山下さんに代表して二人に贈呈してもらった。
もう照れまくりだったが、笑顔ははち切れそうだった。
「では朝礼を始めます」支配人が号令をかけた。
全員が並んだ。
「今日はうれしい日です。
経営戦略室から日比野マネージャーと情報システム部から長野祐樹さんが、我が財団へ移籍してくれました。
本当にありがとうございます。
日比野マネージャーは本日から、財団の経営戦略室の室長になります。
長野さんは経営戦略室の中に所属します。今のところは、IT系は長野さん一人です。
財団では、弱者を天使と呼んでいますが、今後とも天使がIT系に入ったら、どうぞご指導をよろしくお願いします。では以上です」
わーと歓声があって、パチパチとまた拍手喝采だ。
もう大歓迎だね。この二人が財団にもたらしてくれた意義は大きい。
院長が二人に声を掛けた。
「身体の調子はどうですか? 疲れたら、すぐ帰って良いですからね」
そう言うと、二人共いえいえ!と大きく手を横に振っていた。
「もう移籍できると思っただけで半分治りました!」と二人の声だった。いいねえ~。
「じゃあ、良かった、まだ無理をしないでいいですよ。オープンまで時間がありますからね。
ゆっくりとボチボチ始めてください」と院長。
院長はやさしいからね。
二人がうれし気に目を細めていた。
そして秋になった。いよいよ財団ビルの外壁が完成した。
外に張り巡らせていた被いが取られて、美しいベージュのツルツルとしたタイルの外壁がそびえ立った。
ここが高台だから7階建てでも、回りが2階建ての住宅地だとそびえ立つように見えちゃうのよね。
実際、坂の下からは遠くにこの財団ビルが見えるとシャトルバスのドライバーが言っていた。
高さだけではない。
実際に出来てみると、想像よりずっと横に広がっていて大きい。
すごくうれしいし、なんだか誇らしい。
本当に清潔感があってきれいだ。
ガーデンの色ともすごく合っている。
あとは内装だけだから、引き渡し時期の見通しが立った。
工事予定は前倒しになり、今年の12月25日に引き渡しされることになった。
そこで財団全体のタイムスケジュールが決まった。
引き渡しは12月25日だが、特別に冷凍庫と冷蔵庫は24日から、スイッチを入れて冷やしておいてもらう。
めちゃくちゃ大変だから皆で手伝う。
インカムは12月中旬に全員に配布する。全員練習するよ。
まあ佐久間病院でも使っていたけどね。
あと、3か月もない。
そして順繰りにガーデンのオープンも2月12日金曜日に決まった。
主要の移籍チームはオープンが決まったことで、
支配人が経理の高見夫婦や、警備管理など、来れる人はなるべく年内に寄こして欲しいと、社長を通して人材の要望者を提出してくれた。
そうだよ、グズグズと引継ぎしてる場合じゃないんだよ。
さっさと来てよ~。
私もクリニックの機械類や備品、什器等のチェックに余念がない。
発注漏れはないかな?とチェックだ。
あとは、麗しい精神科の光永先生は、回りがどんなにドタバタとしていようと、淡々とオンライン診療をして稼いでくれる!
ああ~こういう人、好き好き、大好き。
ところで、皮膚科の水野先生は特別。
爪ケアの指導や、美容サロンも面倒を見てもらうから、今からでもすぐにでも来てもらう。
もう仕事を辞めて、自宅で待機しているんだって。
それで、急いで募集した財団の保母さんが2名採用。
何とかセーフです。
でもまだ募集はしている。
足りない分はナースが担う。
医療系の備品類や什器が揃ったらこちらから連絡して、医師達に不足がないかを1月中旬までに一度見に来てもらうことになっている。
それも半日だけのバイト料ね。私ケチだもん。
オープンが決まったことで、チラシをあちこちに置き、駅前や校内に看板を出した。
あ~、ワクワクドキドキする。
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