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第84話 颯太サイド<催促>
ミツワから、すごい人が財団に移籍したんだって。
それで先生がすごく喜んでるか……?というと、微妙。
「せっかく来てくれたのに、なんか喜べない理由があるの?」
先生はしばらく黙って俺を見つめていたけど、そのうちにふうって深いため息をついて俯いたの。
「‥‥‥実はさ、ミツワの中でも移籍したいって人が、他にも結構いたようなんだよ。
まあ、悩みがあるなら話しだけでも、聞いてあげたかったなと思ってさ。
俺の気付くのが遅かった」
「ふ~ん、そうなんだ。それでどうするの?」
「‥‥‥どうしようか」と言いながら、寂しそうに視線を落として笑っていた。
「今回は18人も財団に来ることになったから、
ほとぼりが冷めるまでは動けないから、そのうちに方法を考えるよ」
「わかった。でも一番大事なこと忘れてない?」
「うん?」とばかりの俺の目をじっと見つめていた。
それから、ええ~?と首を傾げたり……。
もう~!!
待ちきれなくて叫んだ。
「イタリアに行くんだったでしょう!」
「あ、あっ、そうだった!ごめ~ん」
遅ればせながら、両手を差し出して抱きしめてくれた……けど、足りないぞ~。
「もう、他に問題が起きないうちに予約してほしいよ。
日にちを決めてくれない?アニメプラスにも言わないといけないしさ」
ようやく微笑んでくれた。
「そうだね、明日決めるよ。今度はイタリアのどこに行こうか?」
やさしく聞いてくれた先生。
ウプッ、やっとだよ!
「え~っとねえ、どうしよっかなあ?ナポリとポジターノは絶対にまた行きたい、あとは南フランスに行ってもいいよね?もしかしたら、海続きでスペインまで行っちゃう?」
イメージがどんどん広がる俺。行きた~い!
「うん、いいよ、行こう。上川秘書に頼まないとね。日にちだけ明日事務所で確認するよ」
「はい、任せる。お願いします」
うひひひ、笑いが止まらない。
早速、今度行くところの旅行雑誌を買った。
先生と一緒に見るんだ。
翌日、アニメプラスで聞くと、
「特にコンサートやイベントの予定はないから、好きな日にちに行って良いですよ~」と社長に言われた。
夏さんが「いいなあ~」と指をくわえて子供っぽくうらやましがった。
もう、わざとらしいんだから……知らないよ。
早速先生にメールを送った。
そしたら、先生も支配人や加護部長がいるから問題ないって言われたんだって。
それで10月の2週目から月末まで、約2週間の予定で行くことにした。
もちろん上川さんに手配をお願いした。
「まあ、いいですねえ。早速手配致します」だって。
フランス語にスペイン語か。俺全然分からないよ。
第二外国語は中国語だもん。
イタリアでは英語で通せたけど……。
しょうがないから、フランスの旅行者向けの動画で勉強することにした。
ほら、フランスでは英語で話すと無視されるっていうしさ。
あ、でもアテンドがいればいいのか?
そうだ。直接喋らなくてもいいんだな。
よし、旅行の動画は先生と毎晩一緒に見ようっと。
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