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第88話 加護サイド<めぐみ通信>
今度入ったばかりの心理カウンセラー、浜野めぐみさんってなかなか面白い。
朝の会議でいろんな希望を出していた。
「まず、私の顔写真入りで自己紹介の記事を、ご挨拶がてらに出したいんです。
それから、月に3~4回くらい、エッセイを掲示板に出したいです。
これはカウンセラーに相談するハードルを下げる為です。書いてもいいですか?」
院長はニヤッとして
「良いですよ。どんどんやってください。支配人、広報に話してもらえますか?」
「はい、承知しました」
支配人も彼女の熱気に押され気味だった。
それで書いた記事を読むと、最初の自己紹介は名前経歴だけでなく、小さい頃からの流れやエピソードなどが書いてある。
これって社内のご挨拶に関係ある?と不思議に思うことが色々書かれていた。
広報の数人がくすっと笑っていた。
「加護部長、これって面白いですね。この小さい頃の失敗談が傑作です」と笑っていた。
まあ、それで良いのかと思った。
1週間後に早速一件の相談が社内から入った。
相談は、「隣の人のたばこが臭すぎて無理」という相談だった。
あ、あれ? それって社内の経費を使って相談する?と思った。
院長が「あー、この人はたばこのアレルギーなんですね。
それは確かにストレスになるし、臭いで不眠になるし、ぜんそくが出るんじゃないですか?
それだと重要な問題なので、社内の経費でOKです」だって。
へえ~なるほどね。たばこアレルギーなんだ。
次もまた相談が来た。
「香料のアレルギーです。なるべく無香料の洗剤や柔軟剤を使ってもらえないか?
社内でなんとかしてもらえないものだろうか?
鼻の粘膜が痛くなるし、呼吸が苦しくなるんです」という相談。
そしたら院長が、
「これは重大な問題です。すぐ社内に注意喚起をしましょう」
それで全員が使うように、社内割引で無香料のソープ、洗剤、柔軟剤、シャンプーリンス、整髪料などを売店に置いて販売を始めた。
わ~、検討した結果が、ここまで整うんだと思った。
院長は普段はおっとりしてるんだけど行動は早い。
さっさと許可を得るために書面を社長に送った。
すぐに許可が出た。
支配人が、「これは財団でも買って欲しいですね。
大浴場、厨房、ランドリーなどはこれを置きましょう。
あとはドラッグストアでも買えるように聞いてみましょうか?」
「ええ、いいですね。香料アレルギーの人はドラッグストアのにおいも辛いはずですから、なるべく強い香料の製品は、避けてもらうといいですよね」と院長。
それで早速、支配人が書面でドラッグストアの会社に要望書を送っていた。
確かに天使は身体の弱い人が多くて、何かしらのアレルギーを持っている。
これでいいのかもしれない。
大浴場や厨房、ランドリーなどの洗剤類を買う前で本当に良かったよ。
会議で先日の南フランスやバルセロナの土産品について、注文の方法を話し合っていて、商品の絵や写真付きリストを作成していた。
「それは何の為なの?」小松さんと岡本さんに聞いた。
前の店舗巡りで土産品の話はとっくに終わっていたと思っていたのに。
「違うんですよ。終わりじゃなくてこれからなんです。
もし院長や颯太さんが買い付けしてくれたら、旅費や滞在費はゼロとして計算できるし、その分商品の経費が送料だけになるから、売る時の利益が大きくなるんですよ」と岡本さん。
「はあ、なるほど。そのためだったのね?」
二人して大きくうなずいた。
商売熱心だ。
「はい、院長も颯太さんもこの前の店巡りで、大体の商品や価格は分かったと思うから、さりげなくこのリストを渡して良いものを買い付けて欲しいんです。
その目安の為に、このリストが役に立つんですよ」と小松さん。
皆知恵者だな。
でも颯太さんが面倒で嫌だと言ったら、どうするんだろう?
きっとそれで終わりだな。
その時はどうなるの?
まあ、私には関係ないんだけどさ。
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