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第2話
だが、それが好きな相手ともなれば、いくら補習でも碧は喜ばずにはいられなかった。
一希が教えてくれるということだけでこんなにも気持ちが変化してしまうなんて、自分でも笑ってしまうほど単純だ。
「そうだ。補習は明日の放課後から。必ず出席しろ」
命令のような言葉も、優しい口調のせいで碧には強制されているという気持ちは全くなかった。
言葉と同時に頭へと添えられた一希の手は大きくて、とても心地いい。
もしも碧が女の子だったら告白できていただろうか?
いや、いくら女の子でも、教師と生徒では…恋人になどなれない。
最初から無理だとわかっているものを碧は望んだりしない。
ならば、せめて勝手に想い続けることだけは許してほしい。
それ以上は何も望まないから──。
放課後のチャイムが鳴り、生徒たちは次々と教室を後にした。
みんな部活やバイトなど、各々の予定があるのだ。
「じゃあな、碧。補習頑張れよー」
友達の藤沢(ふじさわ)が笑みを浮かべてからかうように言う。
碧と違って彼はこれからデートだそうなのだ。
最近できた他校の彼女と放課後は約束がある、と朝から碧に自慢していた。
「はいはい、お前はデートしくじるなよ」
「うるせー。彼女もいなくて放課後は補習を受けなきゃいけない碧くんは人の心配してる場合じゃないでしょー」
なんだか棘のあるような言い方だが、これが藤沢なのだ。
意地悪なようなフリをして、ほんとは励ましている。
言うならば、不器用な人間だ。
「別にお前に励ましてもらわなくても、俺は落ち込んでなんかないよ」
「そうか? でも、彼女がほしいとは思うだろ?」
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