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第4話
「しっかり勉強なんてしなくていいよー…」
心底やる気なさそうに言ってはみるものの、内心は二人きりということに浮かれていた。
補習が終わるまでの十日間、一希を独り占めしているみたいだ。
「みっちりやるって言っただろ? さ、早速始めるぞ」
「はーい」
正直勉強なんて頭に入りそうもなかった。
一希を眼で追いかけるだけで頭は一杯なのだ。
「と、その前に…」
「また?」
「忘れてたんだよ」
今度こそ勉強を始めるのかと思えば、再び同じく中断され、碧はクスリと笑みをこぼす。
それにツッコむように一希の人差し指が碧の額を軽く小突いた。
全然痛くなどはないのだが、一希が触れたということだけで、そこが熱く疼いてくる。
それを隠すように額に手を当て、小さく唸った。
「唸るな、唸るな。痛くはないだろ? それより、悪いんだが、カーテンを閉めてくれるか?」
「カーテン?」
「あぁ、陽が射し込むと集中できないからな」
言われて窓に眼を向ければ、外は夕日でオレンジに輝いていた。
別に気になるほどの光でもないと思ったが、一希は気になるのかもしれない、とカーテンを閉めてやる。
「これでいい?」
「ん? あぁ、ありがと」
いつの間にドアの方に移動していた一希が振り返り、カーテンの閉まった窓を見て頬を緩めた。
なんでわざわざそんな場所に居るのだろう、と気になったが、微笑んだその顔に碧の眼は釘付けになってしまう。
だから、もうそんな疑問など忘れてしまっていた。
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