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第16話

一希はそれだけ言うと、碧に自分の上着を着せ、まだ立てない彼を置いて教室を出ていってしまった。 そのドアを閉める時の音が妙に大きく響き渡り、一人教室に残された碧は小さく肩を震わせる。 あぁ、これで終わりなのか――と、自分でも不思議なほど冷静な考えが頭を過った。 それは教師と生徒――しかも男同士という関係で、恋人でもない自分たちには必ず終わりがある、と心のどこかで悟っていたから。 実際、一希の口から「好きだ」と言われたことなど一度もなかった。 「っ…」 最初から一希は遊びだった。 そう思うと、自然と涙が溢れ出してくる。 悲しいというよりは、ただただ心が痛かった。

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