18 / 43

第18話

スーツに身を包んだ、赤みががった茶髪――それは間違いなく一希だ。 いつもなら喜んで話しかけるところだが、今はそんなわけにもいかない。 もう前のような関係ではないのだから――。 「っ…」 気づかなかったフリをして、碧はその場を早足で通り抜けた。 もし一希に気づかれたら、と鼓動を高まらせながら、ただ黙々と進んでいく。 「ぁ…あれ?」 一希に会わないように――それだけで足を進めていた碧は、いつの間にか学校とは全然違う通りに来てしまっていた。 初めて見る景色に碧は一気に不安になる。 「ねぇ、どうしたの?」 「ぇ? ぁ…ちょっと道に迷ってしまって…」 「…君、よく見るとマジ可愛いね」 「はぁ? えっと…あの…」 突然脈略のないことを言われ、碧は意味がわからずに困惑してしまう。 だが、そんな碧に構わず、話しかけてきた男は碧の肩を抱いてきた。 あまりに馴れ馴れしい行動に眉を潜めるが、男は構わないで話しかけてくる。 「俺は亮二(りょうじ)っていうんだ。君は?」 「あの…あ、碧です」 迷惑な筈なのに、つい答えてしまった。 それをいいことに、亮二は碧の年齢や学校、挙げ句には恋人が要るか、などと聞いてくる始末。 その質問は今の碧にとっては一番されたくないものだった。 「恋人なんて…いませんよ」 どこか投げやりに答えれば、亮二はチャンスとばかりに頬を緩める。 「ならさ、俺なんてどう? その顔じゃ、最近別れたばっかなんでしょ? 俺なら碧くんにそんな辛そうな顔させないから。ね?」 「なんで、そんなこと…」

ともだちにシェアしよう!