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第18話
スーツに身を包んだ、赤みががった茶髪――それは間違いなく一希だ。
いつもなら喜んで話しかけるところだが、今はそんなわけにもいかない。
もう前のような関係ではないのだから――。
「っ…」
気づかなかったフリをして、碧はその場を早足で通り抜けた。
もし一希に気づかれたら、と鼓動を高まらせながら、ただ黙々と進んでいく。
「ぁ…あれ?」
一希に会わないように――それだけで足を進めていた碧は、いつの間にか学校とは全然違う通りに来てしまっていた。
初めて見る景色に碧は一気に不安になる。
「ねぇ、どうしたの?」
「ぇ? ぁ…ちょっと道に迷ってしまって…」
「…君、よく見るとマジ可愛いね」
「はぁ? えっと…あの…」
突然脈略のないことを言われ、碧は意味がわからずに困惑してしまう。
だが、そんな碧に構わず、話しかけてきた男は碧の肩を抱いてきた。
あまりに馴れ馴れしい行動に眉を潜めるが、男は構わないで話しかけてくる。
「俺は亮二(りょうじ)っていうんだ。君は?」
「あの…あ、碧です」
迷惑な筈なのに、つい答えてしまった。
それをいいことに、亮二は碧の年齢や学校、挙げ句には恋人が要るか、などと聞いてくる始末。
その質問は今の碧にとっては一番されたくないものだった。
「恋人なんて…いませんよ」
どこか投げやりに答えれば、亮二はチャンスとばかりに頬を緩める。
「ならさ、俺なんてどう? その顔じゃ、最近別れたばっかなんでしょ? 俺なら碧くんにそんな辛そうな顔させないから。ね?」
「なんで、そんなこと…」
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