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第26話
いてもたってもいられず、碧は部屋を飛び出した。
向かったのは学校。
息を切らせながら、いつも一希が居る準備室のドアを何度もノックする。
「先生! 一希先生っ、せんせ…一希、先生!」
叫ぶ碧に気づいたのか、ドアが開いて、その向こうから驚いた様子の一希が顔を現した。
「碧!? おまっ…そんな息切らせて、どうしたんだよ?」
とにかく碧を落ち着けようと中に招き入れれば、単刀直入なまでに、碧が見合い話は本当か、と切り出してきた。
「あぁ、見合い話が来たのは本当だ。俺もいい年だからな。親が五月蝿いんだ」
「本当、だったんだ…」
それさえ聞ければ、ここに来た意味は果たせた。
結果は最初からわかりきっていたのに、ショックで碧は準備室を飛び出していく。
「おいっ、碧!」
後ろで一希が呼び止めるが、碧は振り返ることなく、学校をあとにした。
外は夜風が冷たかったが、今の碧には寒さすら感じている余裕はなかった。
ただ、一秒でも早く一希の傍を離れたくて、無我夢中で走っていく。
途中何度も転びそうになったが、それでもその場から遠ざかろうと足だけを動かした。
そして、横断歩道を渡ろうとした時、大きなクラクションの音と共に眩しいライトに照らされ、碧の体が宙を舞った。
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