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第30話
「俺には好きな人が居るんだ。そいつはまだまだ子供で、決して利口じゃないけど、俺はそいつが好きなんだ。きっとこれから先、誰か一人を選べ、と言われたら、俺はどんな綺麗な女性よりもあの子を選ぶよ」
「なんだ…だったら、その子と結婚すればいいじゃない。年の差なんて何年も経てば気にならないわよ」
母は一希に恋人が居るのだと思い、ほっとした表情をする。
相手を知らないのだから、当然の反応だ。
だが、そんな母親を傷つけるとわかっていながらも、一希は一番重要なことを口にした。
「無理なんだ。俺が好きなやつは男だから。加藤碧っていって…俺の生徒だ」
「男…? う、嘘でしょ!?」
いきなりのカミングアウトは、やはり母にとってはショック過ぎるようだ。
さっきまでの顔が一変し、一気に青ざめていく。
こうなることは予想していたが、いくら家族を傷つける結果になっても、一希の気持ちは変わらなかった。
「俺は碧を愛してる。最初は見ているだけでよかったのに、近づいたら欲が出て…無理矢理抱いた。それでも碧は俺を拒まなかった。それなのに…俺の見合い話であいつはめちゃくちゃ傷ついて、今…病院で…記憶を失った。俺のせいで事故に遭ったんだ。俺…碧が死ぬかもしれないって時にやっとわかったんだ。やっぱり碧は特別なやつなんだって」
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