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第40話
不安そうな顔の碧を見て、一希はその頬に手を伸ばす。
やんわりと撫でながら、碧に優しく言い聞かせる。
「あのね、碧。大変とかそんなのはどうでもいいんだ。それに実は俺の家は大学の近くじゃなかったんだよ」
「え? でも、今近くって…」
「うん。碧の志望校を聞いてから引っ越したんだ。一緒に暮らす口実が欲しかったから」
元々の一希の家は大学から近いどころか、その逆。
碧の家から通った方が明らかに近いところにあった。
これでは一緒に暮らす提案をできない為、わざわざ大学の近くに引っ越したのだ。
「そう、だったんだ…」
自分の為に引っ越しまでしてくれたのは嬉しいのだが、それ以上に驚きの方が大きくて歯切れの悪い言葉になる。
でも、真っ赤な頬がYESの返事を表していた。
「よし、そうと決まれば引っ越しの手配しないとな。早く碧の家に行って荷物纏めるぞ」
「え? もう?」
今決まったばかりで、もう荷造りするのか、と思えば、一希に「早く碧と住みたいからな 」と言われ、碧は素直に家へと帰っていく。
正直なところ、碧も早く一緒に暮らしたいと思っているから、自然と足も進んだ。
家に着いた二人は黙々と荷物を纏めていく。
元々荷物が少なかった為、三時間足らずで荷造りは終わった。
「よし、あとは引っ越し業者に任せればいいだけだ」
「ありがと、先生」
荷造りで疲れている一希にお茶を出し、碧も自分のそれを口に流し込む。
いくら荷物が少ないとはいえ、三時間の荷造りは相当疲労を伴ったようで、グラスのお茶は一気になくなった。
「なぁ、そろそろ先生っていうのやめないか?」
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