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第4話

それから予鈴が鳴った。 「じゃあ、行こっか」 先輩が立ち上がる。 俺も慌ててパンの袋を片付けて立ち上がった。 このまま教室へ戻って、今日も終わる。 そう思っていた。 「あのさ」 先輩が俺を呼び止める。 「今日、一緒に帰らない?」 「……え?」 思わず間の抜けた声が出た。 一緒に帰る。 その一言が、胸の奥にしまい込んだはずの記憶を引っ張り出す。 以前なら当たり前だった約束。 でも今は、その当たり前が一番怖い。 俺は返事ができず、先輩を見つめることしかできなかった。 断った方がいい。 そう思う。 でも、断る理由が思いつかない。 何秒黙っていたんだろう。 「……いいですよ」 気づけば、そう返事をしていた。 「ほんと?」 先輩の表情がふっと柔らかくなる。 どこか安心したような、嬉しそうな笑顔だった。 その笑顔を見た瞬間、胸が締め付けられる。 そんな顔、しないでください。 また勘違いしそうになるから。 俺はその言葉を飲み込んで、先輩の後ろ姿を見つめた。

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