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第8話

それからまた、先輩とはすれ違う日々が続いた。 それで良かった。 会わなければ、期待しなくて済む。 少し優しくされただけで、また勘違いしてしまいそうになる自分がいることを知っていたから。 だからこの距離がちょうどいい。 そう、自分に言い聞かせていた。 そんな中、テスト期間が始まった。 家だとどうしても集中できない俺は、放課後も学校に残ることにした。 まずは自分で問題を解く。 それでも分からないところがあれば、そのまま先生に聞きに行けばいい。 静かな図書室は、昔から好きだった。 ページをめくる音。 誰かがペンを走らせる音。 窓の外から聞こえてくる運動部の掛け声。 遠くから微かに聞こえる吹奏楽部の演奏。 その全部が、不思議と心を落ち着かせてくれる。 今日も参考書を開き、黙々と問題を解いていく。 いつの間にか周りの音も気にならなくなっていた。 その時だった。 「隣、座っていい?」 聞き慣れた声に、シャーペンを持つ手が止まる。 ゆっくりと顔を上げる。 そこには、教科書を抱えた先輩が立っていた。

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