16 / 57

第16話

信太を寝かしつけてからも、さっきの信太の言葉を考えていた。 「悲しそうな顔…か」 あんなことをされたのだから、普通に接するなんてできるはずがない。 それでも、こうして大悟を避けるようにする生活にも辛さを感じていた。 どうしていいかわからずに距離を取っていたのに、それが苦痛になっていく。 こんなに胸が締め付けられるのは初めてだ。 あの無理矢理襲われた日より、何倍も辛い。 「大悟…先生っ」 この時、はっきりと気づかされた。 大悟が好きなのだ、と──。 彼のことが好きだったから、あんな不確かな関係の行為が悲しかった。 こんなことに今気づくなんて、と苦笑する。 「大悟先生…っ、会いたい…」 宏太はいてもたってもいられず、家を飛び出した。 夜道を駆け抜けて、あの日以来の大悟の家の前に来た。 まだ乱れる息を整えることもせず、インターホンを押す。 しばらくすると、ドアが開いて大悟が顔を覗かせた。 訪問者が宏太であることを確認すると、驚いた様に目を見開かせる。 「宏太…くん」

ともだちにシェアしよう!