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第34話
「宏太…宏太」
「ん…? 大悟…?」
「うん。おはよ」
「んー…おはよ」
自分を呼ぶ声に目が覚めるが、まだ半分夢の中といった感じで、間抜けな声しかでない。
「気持ち良く寝てたところ申し訳ないんだけどさ…そろそろ家に帰らないと、信太くんが起きちゃうんじゃない?」
「んー?…しん、たぁ?」
ぼーっとする頭で話を聞いていたが、信太と聞いて一気に目が覚めた。
(そうだ…昨夜はここに泊まったんだ)
枕元で秒針を刻む時計に目をやれば、時間は午前五時過ぎ。
今日もが保育園ある為、信太は六時過ぎには起こさなくてはならない。
夢の中から一気に現実へと引き戻され、宏太は慌てて帰り支度を始めた。
「ごめん、大悟。俺、もう帰るっ」
「あ、宏太、送っていくよ」
いつの間に準備を済ませたのか、すっかり家を出る用意をした大悟にそう言われ、宏太はその言葉に甘えることにした。
前なら遠慮して断っていたかもしれないが、素直に喜べるようになったのも大悟と出会ったおかげかも、と思ってしまう。
家に着くと六時前だった。
玄関で大悟と別れると、宏太はすぐに朝食の支度に取り掛かった。
生憎時間がない為、今朝は簡単な目玉焼きだ。
それでも信太が文句を言わないように、信太の分は甘めに作ってやる。
「よし、できたっと…」
朝食をテーブルに並べると、丁度六時を過ぎた辺りだった。
今度は信太の部屋に行き、夢の中の弟を起こしてやる。
「ほら、信太。朝だぞ。さっさと起きろ」
「う〜ん…わかったぁ…」
まだ眠そうな目を擦りながら、信太がゆっくりと起き出してきた。
「じゃあ、着替えて顔洗ったらリビングまで来いよ?」
「はーい…」
のろのろとした足取りで着替え出す姿を見て、宏太は部屋を出た。
信太が着替えている間に宏太も学校の支度を始める。
と言っても、教科書はいつも学校に置いてきている為、特に準備という準備は必要なかった。
そうこうしているとリビングに信太が顔を出す。
「今日は目玉焼きだけ?」
「文句言うな! ただの目玉焼きじゃねーぞ」
やはり目玉焼きだけというのに不貞腐れながらも一口食べてみると、信太の表情が変わった。
甘めにしたのが良かったのか、美味しそうに平らげていく。
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