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第36話
高三の夏と言えば、そろそろ本格的に進路を決めなくてはいけない時期。
周りの生徒達はほとんど進路が決まっていて、みんな受験勉強に必死だった。
それに引き換え、宏太は未だに進路を決められないでいる。
宏太にだって将来の目標がないわけではない。
目指してみたい職だってある。
しかし、それには学費が必要だ。
目標と言っても本気でなりたいのかと聞かれれば、本気だと答えられるかもわからない。
高い学費を払うよりも就職できるところに就職した方が利口なのかもしれないとも考えた。
信太の学費だってまだまだかかるし、今だって生活でいっぱいいっぱいなのだ。
いくら自分で悩んでいても決められない。
最終的には自分で決定するしかないとはわかっている。
でも、誰かに──大悟に相談したいと思ってしまう。
「でも…いくら恋人って言っても、進路のことまで相談するっていうのは…流石に迷惑かな?」
ぼそっと呟いた独り言は部屋へと吸い込まれていった。
机の上には未だに白紙のままの進路調査書が置かれている。
この間、担任にも早く提出しなさい、と言われたばかりだった。
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