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第43話

バイトが終わり家に帰ると、何やら信太がウキウキした表情で出迎えてくれた。 一人で留守番していたのに寂しくなかったのか、と少し不思議に思いながら、信太に「何かいいことでもあったのか?」と問い掛ける。 「あのね、明日、隼人くんが遊びに来ないかって言ってくれたの」 「隼人くん? あぁ、保育園の友達か」 隼人というのは信太が一番仲良くしている保育園の友達らしい。 信太が保育園のことを話す時は必ずと言っていいほど彼の名前が出てくるのだ。 「うん! だから、行ってもいい?」 明日は赤瀬に誘われた遊園地に連れて行ってやるつもりだったが、先約があるのでは仕方がない。 赤瀬には後で断りの電話を入れておけばいいか、と思いながら、行ってこい、と信太の頭を撫でてやった。 最初この街に来た時には幼稚園に行くだけでも不安そうな表情を見せていたのに、それが嘘かのように明日の予定に胸を弾ませる弟の姿が妙に嬉しかった。 昼食を食べ終えると、宏太は携帯電話を取り出し、赤瀬の番号をダイヤルする。 数秒の呼び出し音の後、電話の向こうから赤瀬の声が耳に飛び込んできた。 「ぁ、先輩?」 『うん。どうしたの? 何かあった?』 「あの、明日の遊園地のことなんですけど...信太が保育園の友達の家に遊びに行く約束をしてたみたいなんですよ」 『そっか、なら仕方ないね』 「せっかく誘ってもらったのにすみません」 『ううん、俺はいいよ。ぁ、でも貰ったチケットあるし...あの、さ...もし宏太さえ良かったらなんだけど、二人で行かない?』 「え? 二人で、ですか?」 赤瀬の口から出た意外な提案に、宏太はしばし考え込む。 高校生と大学生の男二人が遊園地なんかに行って浮きはしないか、という思考が頭を過った。 『うん。宏太さ、最近忙しそうだから。さっきも言ったけど、たまには息抜きすることも大事だよ』 「...そうですね。せっかく貰ったチケットも勿体無いし」 『よし、じゃあ決まり。明日の午後一時に駅前集合ってことでいい?』 「はい、大丈夫です」 『それじゃ、また明日』 電話を終えると、改めて赤瀬の優しさが身に染みる。 どこまでも優しい口調と、兄貴的な言葉。 それは宏太にとってはすごく心地の良いものだった。

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