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第49話

瞳から溢れ出る涙を一度拭い、意を決してインターフォンを押した。 顔を合わせたらどんな反応をされるのか、と不安に想っていると、すぐに玄関の扉が開けられた。 「はい…宏太?」 「あ、の…ごめ…っ」 明らかに驚いたような表情の大悟に、宏太はどう切り出していいかわからず、真っ先に出てきたのは、今にも消え入りそうな言葉だった。 同時に、さっき拭ったはずの涙がポロポロとこぼれ落ちてくる。 「とりあえず、中入って」 その言葉に小さく頷くと、腕を引かれ部屋の中へと大悟に連れられていった。 ゆっくりとソファに腰掛けた宏太だったが、ここへ来たのは迷惑だったのでは、と考えてしまうと、俯いた顔を上げることができなかった。 「とりあえず、これでも飲んで、落ち着きな」 そんな宏太の前に、大悟からココアが差し出され、その優しさにまた涙がこぼれ落ちてしまう。 ゆっくりと口へと運んだココアは、心に染みるような優しい味がした。 「ごめん…急に来たりして」 ようやく涙が止まった頃、宏太が重い口をゆっくりと開いた。 「いや…それはいいけど…何かあった?」 「実は…俺、進路の事で悩んでて…。そんな時に、前の学校の先輩に会ったんだ。それで、その赤瀬先輩に進路のこと相談したりしてて…。それで、この間俺のバイト先に先輩が来たんだけど、先輩そこの常連だったみたいで、店長が遊園地の無料券くれたんだ。それで、信太と三人で行くことになったんだけど、信太が保育園の友達と約束しちゃって…遊園地断ろうとしたんだけど、息抜きにもなるから、って…この間の日曜日、先輩と二人で行ってた」 「あの時の男が、その赤瀬っていう先輩?」 「うん…。先輩は昔から俺に優しくしてくれて、すごく頼りにしてたから…久しぶりに会えたのも嬉しくて…大悟の気持ちも考えられなかった。別れようって言われて…すっごく辛くて…つい、赤瀬先輩の所に行っちゃったんだ。それで、先輩の部屋で話聞いて貰ってたんだけど…そしたら、急に…キスされて…すっごい嫌で…悲しくて…迷惑だってわかってたのに、気づいたら、大悟のとこに来ちゃってた」

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