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第55話

「ぁ…でも、大学に行くお金なんてないよ」 いくら進路が決まっても、大学に行くには費用が掛かる。 宏太には学費を払えるだけの蓄えは持ち合わせてなどいなかった。 「それくらい僕が払うよ。これでもちゃんと社会人なんだし」 「ダメだよ、そんな事。いくら大悟でもそこまでは甘えられない」 正直、大悟がそう言ってくれるのは嬉しいが、大学に行くとなれば物凄い金額が必要になる。 そんな大金を払ってもらうわけにはいかなかった。 「でも、そんな事言ってると大学なんて行けないよ。宏太の一人で頑張ってる姿とか強がりな部分も好きだけどさ、時には素直に甘える事も必要だよ」 「でも…俺は大悟と対等な存在で居たいから。恋人だからって、そんなに甘えられないよ」 「…じゃあさ、学費を貸すっていうのはどう?」 真剣な眼差しで甘えられない、と言う宏太に、そんな提案をしてみた。 「貸す?」 「うん。奨学金みたいな感じかな。学費は一旦僕が出して、宏太が無事に就職したら、その学費を少しずつ返済してもらうっていう形ならいいんじゃない? 今から大学の費用を貯めるってなったら、何年かかるかわからないし、僕も宏太の為に何かしてあげられる事はしてあげたいし。これなら、宏太が稼いだお金で払ったのと同じ事になるでしょ?」 「…でも、それって最初は大悟にお金払わす事に変わりないし…悪いよ」 「そんな事ないよ。それに、信太くんにだってこれからはどんどんお金が掛かってくるんだし、バイトなんてしてないで、早く資格取って働いた方が効率的でしょ? これは信太くんの為の投資でもあるんだ」 「…大悟…ありがと…」 大悟の言葉に、確かに信太の為にもバイトをして費用を貯めるより、最初は大悟に頼っても大学で勉強して、きちんと就職した方がいいだろう、と思わされ、素直にそんな言葉が出てきた。 「ただし、きちんと勉強して卒業する事」 「うん!」 ここまで自分の事を考えてくれている大悟に、宏太の瞳からはポロポロと涙がこぼれ落ちていった。

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