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木田 智之(きだ ともゆき)視点3
「木田も服脱げよ、キトの身体ふかふかで抱き心地サイコーなんだって。ほれ、抱いてみ」
俺は冴島の配慮によって、冴島と位置を入れ替わり、キトの前に回っていた。
「僕も冴島も脱いでるのに、木田だけ着てるのずるいよ」
キトにまで不服そうに言われてしまい、俺は渋々服を脱ぐ。
「うお、木田って意外と筋肉付いてんな、ジムとか行った事ないっつーのは嘘か?」
「嘘ついてどうする。これはバイトでついた筋肉だ」
「ああ、引っ越し屋さんのバイトってハードそうだよね……」
キトはそう言いながら俺の割れた腹に手を伸ばしてきた。
なんだ? 俺の腹に触りたいのか?
「苦学生だからな、時給が最優先だ。勉強する時間も捻出しないとだしな」
「そうなんだよねぇ……」
同じく苦学生のキトが、俺の腹の筋肉をサワサワと撫でながら深く頷く。
その点冴島は家が金持ちなので、こんなに立派なマンションに1人で暮らし、ジムに通って見せる為の筋肉をつけ、こんな風に遊び暮らしているわけだが。
そのおかげで俺達も時々こんな風に奢ってもらえるので、有り難い事だ。
キトの細くて柔らかい指が俺の筋肉の溝をなぞる度、俺の首の後ろでぞわりと何かが疼くような気がする。
なんだ、これ……。
悪寒に似た、でも少し違うそれをじっと味わっていると、不意にキトの指が止まる。
視線を上げると、キトの後ろから翼の下を潜らせて腕を回した冴島が、キトの胸元に両手を沈めていた。
羽の中にずっぽり沈み込んだ冴島の指が、キトの薄い肌の上を這い回っているようだ。
「……っ、ぁ……っ」
キトが小さく声を上げると、冴島がへへへと笑いを漏らす。
「ほんとこいつ反応が素直で可愛いよなぁ」
そこそこに美形で女子にモテる冴島は、でれっとした顔もなぜか汚く見えない。
イメケンは得だなとぼんやり思う。
「ほら木田、こんな風にキトの胸撫でてみろよ、やさしーくやさしーく、フェザータッチでな」
言いながら、木田は俺の手を取ってキトの胸を撫でさせた。
キトの肌は思ったよりもずっと熱い。
つるりとした感触は怪我が塞がったばかりの薄皮のようで、少しでも力を込めると破けてしまいそうで怖いな……。
「ん……、ぁっ……」
おそるおそるの俺の拙い愛撫にも、キトは甘い声を零してくれた。
ああ、これは確かに……いくらでも撫でたくなるな。
「そんじゃそのまま木田は胸撫でといてな、俺は穴の方やるんで、場所ちょいズレて。キトは横んなる方がいいか、そのうち体起こしてらんなくなるだろうし」
テキパキと俺達を気遣い指示を出す冴島は、ムードとは程遠いが頼り甲斐はある。
キトの背中の翼が毛羽立たないよう綺麗に撫で付けつつベッドに横たわらせる冴島は、中々に手慣れていた。
人間にはそもそも毛並みの概念はないだろうに。普段から異種族に手を出しているだけあるな……。
「あー、俺も鳥族とヤんのは初だから、なんか触っちゃまずいとことかあれば言ってくれな」
「ぅ、うん……っ」
ああ、そうか。会話の間は手を止めてやるべきだったか。
キトが息を詰めるようにして必死で答えた様子に、俺はちょっと反省する。
「悪い」
俺が今度こそ手を止めて謝ると、キトは一瞬キョトンとした顔をしてから、へにゃっと笑った。
「ううん、……大丈夫」
キトの黒目がちの瞳がゆるりと潤んでいる。
ドッ! とやたらデカい音で鳴ったのは、もしかして俺の心臓か?
パチという小さな音に視線をやれば、冴島がボトルからとろりとした液体を手に取っている。
「これ多分鳥族もいけると思うんだけどなー」
言いながらボトルの裏側を眺めた冴島が「お。鳥族もOKって書いてあんな、よしよし」と口端を上げる。
お前の寝室にはそんなものまで常備されているのか。
「そろそろあったまったか? 冷たかったらごめんな。つーかほとんどのやつが人間より体温たけーから、大抵無駄な努力なんだよなこれ」
どうやら自身の両手を重ね合わせていた冴島は、自分の手でローションを温めていたようだ。
俺は、キトが話したそうな顔をしたので手を止める。
「体温、空、飛ぶような奴だと、40度超えるらしいけど、っ、僕みたいな飛ばない奴は、38度くらいだよ」
愛撫を止めてすぐではまだ息が整いきれないらしいキトが、それでもなんとか普段とあまり変わらない声色で答えた。
「それでも俺らより全然たけーって。人間だとそれ高熱だからな。キト、もうちょい足開けるか?」
「こ……これ、くらい?」
「おー、もうちょいもうちょい」
「ぅう……恥ずかしいよぉ……」
「いやぁ、恥じらうキト可愛いって!」
「……っ」
そう言う冴島のモノは既にやる気が過ぎて何やら先走っているようだが、それでも急かす様子がないのは、経験者の余裕か、痩せ我慢か……?
「ぁ……っ」
顔を真っ赤にしていたキトが急に体を強張らせる。
ああ、冴島が触れたのか、キトの穴に……。
「よーしよし、怖くねーからな。力抜いとけよー。ほら、木田もそっち休むなよ」
なるほど、あちこち触ってる方が気が紛れるって事か?
意外と忙しいもんなんだな、なんて思いつつ、俺は言われた通りに作業に戻った。
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