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第4話
宮田は1週間待った。連絡はいっさいない。携帯は繋がらないが番号を変えていないことはプラス面だった。探してもいい、そう言われているような気がしてしょうがなかった。
世間話を装って坂本の話をすると、友人の事業を手伝うらしいという情報を得た。坂本が口にした友人は一人しか知らない。苗字しかわからなかったがカフェをやっていると聞いたことがある。苗字がわかればSNSがあるし、地域と業態で絞り込める。
今の時代何の痕跡も残さず生きていくにはデジタルを一切排除する以外に方法はない。しかしそれは不可能だ。カードや銀行を使えば痕跡が残るし一度出たものは消えない、永遠に。
特別デジタルに長けていない宮田でも、坂本の「友達」を特定することができた。会社員であれば難しかっただろうが業態が限られている。それに千歳であれば札幌に比べ数も少ない。
坂本の様子がおかしくなった出来事に心当たりがある。それは同じ男としてどれだけダメージを受けたか想像できるから掛ける言葉がなかった。何を言っても同情や哀れみにしか聞こえないだろうし、それは坂本が一番望んでいないことだと容易に想像できた。
宮田は年齢差が疎ましかった。何を言っても全て「お前にはわからない」そう返されるだけだ。
少しずつ距離を広げていく坂本にどう言えばいいのかわからなかった。時間が解決してくれるという甘えがこの結果を生んだ。
宮田はここまできたら言葉に頼るべきではないと結論づけた。自分をぶつける、それで結果が伴わないのなら諦めるしかない。それが坂本を守ることになるのなら身を引こう。
この決心を胸に、宮田は千歳行きのJRに乗った。
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