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第7話

 立てた両ひざの間に身体をねじ込んだ宮田を視線で追う。勃起し腹に反りあがった陰茎にローションがかけられた。ダラダラと漏れだした先走りとローションが一緒くたになる。扱かれるたびにヌチャヌチャという卑猥な音に羞恥心が増し、坂本は目を閉じた。 「うっ」  ヌルリと宮田の長い指が潜り込む。精嚢の裏側辺りを指先が圧迫を始めるとうめき声が漏れた。快感とは違うが、自分では制御できない感覚は恐怖でもある。怖いと言いそうになり坂本は唇を噛んだ。宮田の指はゆるゆると圧迫を続け、尿意に似た感覚がせりあがり坂本は両足を閉じた。 「もう少し我慢して。これからよくなるから。知ってるでしょ?俺に散々したんだから」 「う……あっ、あ」  閉じたはずの口から洩れる声。それは熱と甘さを帯びている。尿が漏れてしまうような感覚と得体のしれない何かが坂本を攻め続けた。  リズミカルに扱かれカリを親指で舐られる。会陰から裏筋を辿り鈴口までローションの滑りを得た宮田の左手は生き物のように動いた。身体の外と中、どちらにも耐え難い刺激を受け、だらしなく開いた唇から唾液がこぼれる。手の甲で拭おうと腕を上げたが宮田の唇が早かった。すくいとるように舌を差し入れられ、坂本の腕は宮田の背中に落ちる。宮田の腹にこすれる陰茎が別の刺激をキャッチし坂本の喉が鳴った。  顎を舐められ歯を立てられた。唇がすべり首筋から鎖骨へと唾液の跡を残す。唇の愛撫に我を忘れている間に埋め込まれた指は3本に増え、バラバラと体内で暴れていた。 「う……あ、ダメだ……」 「もう出ない、そう言ったくせに。そろそろ俺も……」  坂本がいつもしているように宮田の指が後孔の入り口を広げる。見る分には煽情的で興奮する光景だが、自分の後孔がヒクつきながらピンク色の内膜を晒していることに気付いた坂本はきつく瞼を閉じた。 「すごい……こんなになって」 「言うな……」  その瞬間、広がった入り口に信じられないくらい熱い塊が押し付けられた。グボっとめり込むその質量に足が勝手に宮田の身体を蹴った。 「あああぁぁぁ……無理だ、抜いてくれ」  ニュルリと宮田の左手が動き刺激がダイレクトに腰に響き渡る。 「ああ!」  宮田はズブズブと容赦なく腰を進めながら坂本の陰茎を扱き、乳首を摘まむ。複数の場所からの刺激が快楽となって坂本の中に溜まっていくうちに、会陰に宮田の陰毛が触れた。 「全部入りました」  内臓がせりあがってくるような異物感。たっぷりと入り口と中を解されたせいで痛みはないが、快感には程遠い。 「俺がよくしてあげます」  肩口から宮田の腕が背中に回り、二人の胸がぴたりと合った。首筋から耳への愛撫、そして柔らかいキスを繰り返しながら、腰を緩く動かし中を探っている。カリをなすりつけるように前立腺のポイントを圧迫されると徐々に坂本の身体からこわばりが抜け、肌が更に熱くなる。 「あ、ああ、あ」  グラインドに呼応する喘ぎは少しずつ甘くなり始めた。キスをすればキスを返し、手を取れば指が絡む。まるで宮田を縛り付けるように。 「わかりますか?俺達はひとつです」  身体を駆け巡る熱と快感が耐え難いものになり坂本は背中を反らせた。 「あぁ!もう……」 「もう?」 「苦しい……たのむ」 「なにを?」 「たのむ……いかせてくれ」 「……」 「……たのむ……お願いだ……」  弱弱しい懇願と裏腹に坂本は宮田の顎を強く握り押し上げた。情けない顔を見られたくなかった。熱に浮かされている姿を晒したくなかった。すでに手遅れであったとしても。 「ようやく……素直になりましたね」  宮田はクシャリと表情を崩し坂本に口づけた。潤んだ瞳に見つめられ坂本の身体の芯がグワリと揺れる。 「あなたは狡い」 「……たのむ」 「こんなに熱くていいなんて知らなかった。それを独り占めにしていた!」  グンと奥を突かれ坂本の口から嬌声が迸る。いきなり激しくなった抽出にガクガク身体を揺すられ、更に強く動く宮田の左手に翻弄される。もう何が何だかわからない。坂本は必死に宮田の腕を握った。弾けそうだ。自分が身体ごと何処かに行ってしまいそうな怖れと快楽に脳が爛れる。 「あああ!!」 「うぐっ……い、ああ!!」  絶頂の襞が波紋のように広がる。その余韻に漂いながら頬に手を伸ばすと、宮田の身体が崩れ落ちてきた。そのまま強く抱きしめられ息が詰まる。言いようのない安堵が全身を満たした時、坂本は思い知った。  手放すことなど最初から無理だったということを。

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