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第7話 陽一サイド<吉沢君のライバルたち>
今日はステラビートが浅田タワーのイベントホールでダンスレッスンをしているそうで、夏輝さんが仲間とトレーナーを紹介してくれることになった。
皆でお邪魔すると、ホールの空気は圧倒的な迫力と緊張感に満ちていた。
トレーナーのみずきさんの号令が飛ぶたび、空気が震える。
おっかない……。吉沢君も、少しビビっているのではないだろうか。
「では皆さん、ちょっと集まってください」
夏輝さんの声に、メンバーたちがサーッと集合する。
吉沢君がその前に出た。
「今日から皆さんの仲間になります、吉沢達也君です。
レジデンスに住む予定です。皆さん、仲良くしてあげてくださいね」
「吉沢達也です、どうぞよろしくお願いします」
彼は深く、丁寧にお辞儀をした。
皆がパチパチと拍手をしてくれたが、皆の瞳は鋭かった。
同じステージを目指すライバルとして、彼の実力を測ろうとする熱量を感じる。
「吉沢君は明日から練習に参加します。皆さん、よろしくお願いします」
夏輝さんがそう告げ、私たちはその場を後にした。
「あとは事務所に戻り、明日からのスケジュールやタイムカード、有給休暇などについて説明があります。皆さんもいらっしゃいますか?」
広報スタッフたちが顔を見合わせた後、
「はい、お邪魔かと思いますが、ぜひご一緒させていただけますか?」と食いついた。
彼らもプロの現場を少しでも吸収したいのだろう。熱心なことだ。
夏輝さんも多忙を極めているはずだ。
これ以上甘えるわけにはいかないと思い、俺は山川弁護士を連れてここで失礼することにした。
「今日は一日、有意義な勉強をさせていただきました。本当にありがとうございました」
丸一日、貴重な時間を割いてくれた彼のご厚意に感謝し、浅田タワーを後にした。
帰り道、山川弁護士にふと尋ねてみた。
「どうでしたか?」
彼はふっと苦笑いを浮かべた。
「いやあ……あれはねえ。50億じゃ絶対足りませんよ。
レジデンスの買い上げだけでも何十億の規模です。
全部を入れると軽く百億は投じているでしょう。
しかも、あの菜の花病院の発展ぶりですよ。あそこまで浅田工業が……。
もう、恐ろしくてこれ以上の詳細は聞けませんな」
私も思わず苦笑した。
「全く、何が彼らをこれほどまでに発展させたんでしょうねえ」
「やっぱり人じゃないですかね?
素晴らしい才能に恵まれたというか、良い人を引き寄せたというか。
そういう全体的な強運も持っているんでしょうな」
本当にその通りだ。
知れば知るほど、ミツワとの距離が遠のいていくような不思議な感覚がある。
最後まで見学に残った広報スタッフたちが、どんな報告を持ち帰るのか。
楽しみのような、少し怖いような気もするが……、まあ、無謀な真似はしないだろうと信じている。
それにしても、意外だったのは颯太だ。
てっきり一緒に帰るものだと思っていたのに、スタッフたちと残って最後まで見学するという。
へえ……なんか、火が付いたのかな。
面白い。後でじっくりと話を聞いてみるとしよう。
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