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第27話 達也サイド<高速道路のひみつ>
気が付いた後はパニックになり、信じられない恥ずかしさで奈落の底まで落ちた。
そして「ありがとうね。お世話になりました」と入口の方から声が聞こえてしまい、
思わず布団をかぶってしまった。
ふっという声が聞こえた。
そして「トントン」と声が___もう~。
「そろそろ行くから起きてくれる?」
――その声でそっと布団から目を出した。
ウプッと彼が笑った。
「気が付きましたか?」
さっと上半身を起こして、
「本当に申し訳ありませんでした!!」と頭を下げてお詫びをした。
「良いよ。本当に怖かったんだね。ごめんね、無理させちゃって」
「いえ、俺が悪いんです。分かりもしないでヘリに乗っちゃって、気付くのが遅すぎました」
ぷーっと吹き出して副社長が笑った!
なんだか、俺もおかしくなって笑ってしまった。
「そそっかしいなあ」と頭をくしゃくしゃにされた。
そして今度は頭を撫でられた。なんて心地いいんだろう。
そのまま眠りたかった。
「さあ、起きよう。帰りは車で帰るから、迎えが来たんだよ。
事務所には遅くなると言っておいたから大丈夫だよ」
「え、ええー?? 俺が気絶したって言っちゃったんですか??」
「うん、言ったよ」またベッドにバターンと倒れた。
またくすくす笑っていた。
「ウソだよ。ちょっと気分が悪くなったって言っといたよ」
もう……恨めしい目で見ちゃった。
ははと笑ってすごく素敵な笑顔を見せてくれた。
そして、起こしてもらって部屋を出ると、
ええー?
ズラーッと工場の人たちが廊下に並んで待ってた!!
「もう大丈夫でいらっしゃいますか?
ただいま名古屋方内からSPの車がお迎えに来ております」
「うん、ありがとうね。せっかく案内をお願いしたのに悪かったね。
よろしく伝えてください。また今度来ますよ」
「はい、どうぞご心配なく、いつでもお待ちしております」
「今日は本当に申し訳ありませんでした」
俺は皆さんに深く頭を下げた。
そして送られながら、SPが乗っている黒塗りのピカピカの車に乗った。
車が少し進むとちょっと停まった。
「あ、ちょっと待っててね。父がいるみたい」
そう言い残して車を降りた。
副社長は少し走って奥にいる男性と話をしていた。
あれがお父さんなのかな?――と言うことは社長!
ガーンと頭をぶん殴られたような気がした。
そして副社長はまた走って戻ってきた。
「はい、ごめんね。車出してください」
さっきの男性は建物の中に入ったようだった。
「お父様だったんですか?いいんですか?」
「うん、大丈夫。また来るから」
「俺のせいで本当にご迷惑ばかりかけて申し訳ありません」
なんだか悲しくなってしまって、涙ぐんでしまった。
それを見た副社長は、「さっきまで倒れてたんだから、横になって」
そして俺の身体をひっぱって、膝の上に上半身を乗せてくれた。
そしてクッションを頭の下に敷いてくれた。
なんだか、何と言っていいか分からなかったけど、
……でも涙が次から次に溢れて来た。
それをハンカチで拭ってくれた。
頭はそっと撫でながら___それが心地いい。
それにすごくいい匂いがした。
スーツの匂いなのかな?スーッと大きく吸った。
「なんかいい匂いがしますね」
「そう? 達也君もすごく良い匂いがするよ」
「……え、俺に匂いがあるんですか?」
「うん、初めて会った時にもしたよ。達也君は感じなかった?」
ちょっと不思議だ。
「分かりませんでした。緊張していたし、離れていたので」
「これさ、相性がいいと思わない? 初めて舞台の録画を見た時にもピンと来たよ」
「……」
この時の俺はどうかしていた。
なぜか頭の下のクッションを外して、
彼の太ももに顔をつけて思いっきり匂いを吸い込んだ。
何回も何回も吸い込んだ。
「あ、本当だ。なんかいい匂いがする」
「足じゃよく分からないよ。ここが良いかもよ」
頭をそっと抱いて胸に顔を付けてくれた……つまり抱きしめてくれた。
思いっきり胸の匂いをすーっと吸い込んだ。
「あ、本当だ。すごくいい匂いがする……」
つい、そんなことを口走ってしまった。
え?誰に対して何言ってるの?と恐ろしくなった時に、耳元でささやかれた。
「達也、って呼んでもいい?二人だけの時にそう呼びたい」
頷いた。そして彼を見つめた。
じっと優しく俺を見つめてくれた。
なんだろう?この安らぎは……このまま、ここで眠りたいと思った。
もうどうなってもいい。
そんな優しさを与えてくれた。
「良いよ。ここで眠っていいよ」
そのまま、多分眠ってしまったんだと思う。
もう覚えていない。
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