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第54話 透真サイド<新婚の夜>*
ホテルの部屋に戻ってきた。
「疲れたでしょう?」
達也はそれに答えず、少し微笑んで首を傾げた。
車いすの達也を抱いてベッドにそっと寝かせてる。
でもまだ両手は俺の首に巻き付けたままで放さない。
達也の美しい瞳にじっと見詰められると、なんとも言えずに愛おしい。
達也が耳元でささやいた。
「もう‥‥‥本当に過保護なんだから……でも気分は最高」
ふ、なんだか照れてくすぐったい……。
「じゃあ、もっと甘やかしちゃおうかな?」
「うれしい」
美しい大きな目元が笑い、そっと唇に口づけをした。
あ~もう、達也が俺の物になったことを自慢したくてしょうがない。
「今日から『松永達也』になったでしょう?
芸能界での名前はどうするの?」
「ああ……考えてなかった。
どうしたらいいんだろう?」
「じゃあ、桐生社長に聞いてみよう」
すぐ電話をかけた。
「はい、桐生です。あ、それは旧姓がベストですね。
芸名を本名にすると自由度が減ります。
例えば、ネットショッピングや旅行先の宿、飛行機、レストランなど、
本名だとすぐにバレてしまうので、プライバシーがもっと無くなるんですよ」
「なるほど、了解です。ありがとう」
そのまま内容を達也に伝えると、
「本当だね」と納得していた。
「じゃあ、俺は結婚して名前が変わったってことは、助かったってことだよね?」
無邪気に見上げてくる目線が何とも言えずかわいい。
「うん、そうかもね。うれしい?」
頬を緩めて頷く。あ~もう俺は骨抜きだ。
達也は小さい時から苦労して生きてきたのに、すごく感性が素直だ。
それに少々のことがあっても、前向きに捉えるのも好きなところだ。
「ねえ達也。明日は俺のマンションで過ごそうか?」
「いいの? すごく行きたい。
本当は今すぐ行きたいけど……我慢してるの。だから絶対連れてってね!」
「うん、分かったよ」
目をキラキラさせていた。
それくらいで喜ぶならお安い御用だ。
「……ところで透真さん、今日は仕事に行かなくていいの?」
「うん、行かないよ。有休にしておいたから」
「ふーん。副社長って便利だねえ」
ちょっといたずらっぽい表情で言われた。
「気がついちゃった? これ特権なんだけど、許して」
「俺許しちゃう……」二人でくすくす笑った。
「ねえ、もう二人きりになれたのかな?」
甘えん坊な眼差して見つめられた。
「さみしかったの?」
達也がそっと頷いた。
「‥‥‥中々二人きりになれないもんね。
俺、透真さんの匂いが恋しかった……」
なんでこんなにかわいいことを言うかな?
ぎゅと抱きしめた。でもこんなんじゃ足りない。
もっとぐしゃぐしゃにしたくなった。
「寝室の鍵をかけちゃおうか?」
「うーん、そうしたいけど、マネージャーさんが来たら気まずいよ」
「大丈夫だよ。じゃあ、メールして聞いてあげるね」
桐生さんに手早くメールを打ち終えると、すぐに返事が届いた。
「はい、承知しました。ごゆっくりお休みください」
「ねえ、なんて返事が来たの?」
またメールが来た。今度は理事からだ。
「今の知らせをみんなに伝えたら、
『うわ~、急に仕事をする気がなくなった!』」と嘆いていました。
どうぞお幸せに、ごゆっくりお過ごしください」
もう笑いが出るけど、達也には言いにくい。
そのまま、寝室のドアの鍵をカチリとかけた。
「あれ?」
「”今から結婚休暇を取ります”って送ったんだよ」
「わ、頭いいなあ……、でもバレバレだよね?」
「うん、みんな仕事をやる気がなくなったんだって」
二人でくすくすと笑った。
はやる気持ちを抑えられず、寝間着に着替えた。
そして達也のベッドに入った。
「じゃあ、一緒にお昼寝しよう」
「うん」
達也を抱き寄せると、胸に顔をつけていっぱい匂いを吸い込んでいた。
「胸の匂いがした?」
「うん、ああ……幸せ。ありがとう」
満足げに目をつぶって腕の中にいる。
柔らかな髪を撫でた。
「達也、いつ子供作る?」
「……ええっと、まずは新婚生活を味わってからね」
甘えんぼな眼差しでそう言われると、
__催促と取ってもいいのかな。
「それはどれくらい?」
「うーん、分かんないよ」
「じゃあ、早く新婚しよ」
甘いキスを繰り返した。
「ふう……」
達也の甘い吐息が僕の頬にかかった。
瞼を閉じても形がきれいだ。
すーっと通った高い鼻筋にも唇をキスを落としていく。
耳に舌先を入れて回し息を吹きかけると、
「そこだめだから……」と足をバタバタした。
「でも身体が熱くなってきたよ」
それでもぎゅと目をつぶっていた。
更に首筋に唇を落とすと、少しイヤイヤをしていた。
なんでこんなにかわいいんだろう?
「達也、可愛すぎる……」
胸のかわいいぽっちに舐めて甘噛みした。
びくっと身体が反応する。
ずっと肌をなでてキスをすると……、
「達也、もうここがなんか言ってる」
中心をそっと撫でた。
照れてじれた。
「あぁ……、もう~早く~」
しっかり反応しているは分かっているけど、それは俺も同じだ。
時折、熱い息が漏れて来る。
「すぐイキたい?」
目をつぶったまま頷いた。
ああ、かわいい。
そして少しずつ強く擦って行く。
「ふぁ、ん……ぁ……」
背中の手がぎゅと掴んだ。
「とう、ま……あっ……」
ぶるっと彼の身体が震えた。
達した彼の唇が半開きになって「はあ……」と溜息をもらす。
そんなことが延々と続く、
結婚の夜……。
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