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第55話 夏輝サイド<ステラのびっくり企画>

 お幸せな副社長や達也たちに当てられっぱなしなんだけど、忘れることにした。 「ああ~今この時間から結婚休暇って、 想像しちゃって無理。もう仕事やってられん」と藤堂さん。 「達也のことは忘れろ! 仕事が進まんだろう」と桐生さんが皆に号令をかけていた。 無理だよ。甘いんだもん。(笑) では、俺も仕事に励むか。 ステラビートのファンミーティングの進行具合をメグちゃんに聞いた。 ここんとこ毎日のようにステラと連絡を取り合って、盛り上げてくれている。 本当にメグちゃんは真面目な熱中派だ。 「何人予約があったと思います?」とメグちゃん。 え? 想像もつかなかった。 「せいぜい300人もいれば良い方じゃないの?」 「ブー! 今、886人です!」 「マジで? いつの間にそんなに増えたんだよ」 「えへへへ。ファンクラブの通信で、メンバーからの日替わりの熱いメッセージと、進行具合を語ってもらってるんですよ」と、メグちゃんは誇らしげな表情で自慢していた。 「へえ~、そんな方法があったのか」 桐生さんがじっと聞いて笑っている。 「理事、だから場所を1000人収容の『きららシアターホール』に変えましたよ」と桐生さん。 「へえ~、すごいじゃん!」 「で、ステラの歌姫募集の方はどうなってるの?」 「もうHPでは予告済みです。もしかしたらTV番組と同時進行でコンテストが進むかもしれない、と書いておきました」と桐生さん。 「それで応募数は?」 パソコンの画面を覗き込む。 「ええと、今467人ですね。 ただ、バンド活動している人も複数いて、 『バンドも一緒に出させてもらえないか?』って言うんですよ。どうしますか?」 「ふ~ん、まあ、いつも一緒にやっているのならそうしたいよね。 もしかしたら優秀なメンバーもいるかもしれないから、 ステラと一緒に遠征するなら採用してもいいけどね」 「そうなんですよね、優秀なら欲しいです。 うちのナツ・サウンド・クルーのメンバーは、 颯太さんや達也、夏さんの演奏活動に専念してもらってもいいんですよね。 そのうちにヴォクシブも帰ってくるかもしれないので、バンドが手一杯で足りなくなりますから」 「よし、その方向で行こうか。なら、いっそ募集要項に書き足してほしいよ」 「はい、了解です」と奥の神崎さんから声が聞こえた。 桐生さんがニヤッと笑っている。 「ちょっとステラを見に行こうか」 桐生さんとメグちゃんを誘って、レッスン場へ向かった。 もうレッスンは終わっている頃だ。 「おはようございます。お疲れ様です」 声をかけると、「おはようございます!」と声が揃った。 お、なんだか迫力がある。 「ファンミーティングの予約が凄いんだって? 良かったねえ。 ホールに場所を変えて、やりにくくない?」と、声を掛けた。 リーダーのゲンがすぐ前に出た。 「とんでもないですよ! 俺たちメチャメチャ張り切ってますよ」 少し笑ってしまった。テンションが上がっているようだ。 「へえ~、そうなんだ。プログラムは出来たの?」 「もう変えっぱなしですよ。どんどん増えてくるから、変更しないと役に立たなくなるんですよね」 ゲンが嘆きのような、しかし喜びで燃えている表情を見せた。 「実は、開演前の30分を有効に使おうと思うんですよ」とメグちゃん。 「へえ~、どういうふうに?」 「その日にやりたいことをファンに書いてもらって、 連番も振ってプレゼントをいっぱい用意するんです。 なんせ参加費が3000円ですからね。 十分にファンと触れ合えるようにしようと思っているんです」とメグちゃん。 「そうそう。もうメンバーが握手券とか、 ハグ券とか出すんですよ。そして記念撮影もします」とゲン。 「それとね。帰りに無料のソフトクリームプレゼント券を用意しました。 菜の花フーズさんの協力をいただきます」 「えー、凄いじゃん!」 思わず感嘆の声をあげてしまった。いつの間にそこまで進んだんだよ。 「それと、昔やった『あーんパネル』とか出したいんですけど、場所が嵩張りますか?」 「いや、いいよ。好きにやって。誰も使わなかったら処分するけど」 「えーーー!?」 一斉にブーイングが飛んできた。 もう、ヘラヘラ笑うしかなかった。

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