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第63話 透真サイド<初めてのヒート>
達也がレッスンに励んでいる間に、パーティーで暴露する映像が出来上がった。
よし、これで準備は整った。
すると、部屋をノックする音が響いた。
「はい」扉を開けると、ロニー先生が困惑した表情で立っていた。
「どうしました?」
「少し、達也さんの具合が悪いようです。もう今日は無理だと思います」
「え? そうですか……。分かりました。
ではまた連絡するまで、レッスンはお休みさせてください」
慌てて部屋へ向かうと、達也はすでにベッドに入っていた。
「達也、どうしたの?」
「……わかんない。急に、具合が悪くなって……」
達也の吐息は熱く、肩が震えている。
「分かった。すぐにお医者さんに診てもらおう」
北原先生に連絡を取り、赤坂クリニックへ向かうことにした。
またしても車椅子だ。
クリニックに着くと、浅田理事と北原先生が待っていてくれた。
「急にすみません。朝起きた時は普通だったんですが、レッスン中に……」
「達也、大丈夫か?」理事が声を掛けてくれたが、
達也は目をつぶって苦しそうに呼吸を繰り返している。
「じゃあ、診察するので待合室で待っていてください」
10分ほどして診察室から出てきた二人は、なぜか微妙ににこやかだった。
「どうでしょうか?」
「もしかして達也は、まだヒートになったことがないのですか?」と理事。
「はい……ないですね。そう言えば、聞いたこともないです」
「本人にも確認したのですが、これまでヒートらしい症状がほとんどなかったようです。
恐らく、これまでの過酷な環境のせいで身体がリラックスできなかったのでしょう。
血液検査の結果でもホルモン数値がまだ弱い。
結婚して、ようやく心身が落ち着いたのかもしれないですね」と北原先生。
車椅子に乗せられた達也が出てきた。
顔が真っ赤に上気している。
「このまま帰宅して大丈夫ですよ。しっかり労わってあげてください」と北原先生。
すると理事が、達也の耳元で「かわいがってもらいなよ~」
なんて言うものだから、達也は更に真っ赤になってしまった。
うわ、もう……。恥ずかしさで俺まであわててしまった。
「一応、抑制剤を出しておきますが、本当は飲まない方がいいんですよ。
どこかで無理が出ますからね。少し値は張りますが、いいですか?」と北原先生。
「はい、構いません。ありがとうございました」薬を貰って帰宅した。
「……透真さん、ごめんなさい。申し訳ないです」
俯いて悲しそうな表情を見せる達也に、胸が締め付けられる。
「何言ってるの。夫婦でしょう? 今のうちにシャワーで汗を流してあげよう」
達也を抱き上げ、シャワー室へ連れて行く。
下腹部から熱を含んだ粘液が伝い落ちていた。
こうなるのか……。
正直、俺だって初めての経験だ。
大きなバスタオルを腰に巻いてベッドに横たえた。
美代さんに連絡し、消化に良いものを作り置きしてもらうよう頼む。
「達也、何か食べられるか?」
「ううん、何もいらない……。お水が欲しい」
ペットボトルの水を二本持ってきた。
ああ、俺もどうしたものか……。
達也から放たれる甘い匂いで、意識がぐらぐらと揺さぶられる。
きつい。たまらなく抱きたい。
自分の呼吸も荒くなってきたのが分かる。
「達也、もし……タイミングが合えば、番(つがい)になってくれる?」
「うん……お願い。だって、夫婦でしょう?」
「そうだね。ずっと、落ち着くまで一緒に過ごそう」
「透真さん……匂いのするもの、枕のそばに置いて欲しい」
「うん、分かった」
Tシャツを脱いで畳み、枕元に置いてあげた。
それをすぐ鼻に当てて、達也は深く息を吸い込む。
タオルや必要なものを枕元に準備する。
「ねえ、早くしてぇ……」達也が、熱を帯びた吐息を漏らす。
ただ、全力で達也を愛そうと思うけど、我慢するのもそろそろ限界だ。
ベッドに入って、達也を抱き寄せた。
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