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第8話 僕、多分好きになっちゃった
亮の足取りはおぼつかない。
牧野の浴衣の隙間から見えるピンクの突起が気になって、気を逸らすために酒を飲みすぎたのだ。
「亮くん大丈夫?」
「ふぁい……」
「大丈夫じゃないね……」
牧野の細い体に支えられながら、部屋へと歩いていく。
体重をかけたら折れそうなほどの肩や腰が、必死に自分の体に寄り添って支えようとしてくれている。
亮はそれだけで天にも昇る心地になっていた。
「ほら、部屋に着いたよ。しっかりして~」
「う~ん……」
部屋の扉が閉まったことを確認して、酔った勢いで牧野に抱きついた。
細い腰を撫で、細い首に擦り付いて匂いを嗅ぐ。
「ちょっと……亮くん……」
「牧野さん……」
ピクピクと反応する牧野が可愛い。
一度離れて目を合わせた時
グニャンと視界が歪んだ。
「わっ大丈夫?」
体に痛みはなく、ベッドの柔らかさを感じた。
いつの間にかベッドまで牧野を引きずってきていたようだ。
グルグル回る視界の中に牧野を見つけて、手を伸ばす。
せめてキスだけでもしたい……。
亮の手は、牧野に掴まれ、牧野はニコリと笑った。
「亮くん、そんなおねだりしてると、簡単に食べられちゃうよ?」
「ぅん~??」
笑う牧野は妖艶で、亮はゾクゾクと背中に感じる震えを快感と捉えたら、瞼が落ちていった。
「寝ちゃったか……でも、いっか。亮くん可愛い……」
牧野は、亮の浴衣のあわせを開いて、火照っている肌を眺める。
亮の上に跨って見下ろせば、綺麗な腹筋に喉が鳴った。
「亮くん、良い身体してる。格好良いね、鳴かせたくなるよ」
さっき亮に抱きつかれたから、亮も合意の上だろう。
眠っている意識がしっかりと目を覚ますように、優しく激しめに抱いてやろう。
牧野は亮の浴衣の帯に手をかけてすぐ下の下半身に目をやった。
酒のせいか全く反応していないそこにそっと触れると、ピクッと亮の体が跳ねる。
可愛がってやりたい。
ぐちゃぐちゃと音を立ててしごいたらどんな反応をするのか、想像するだけで牧野も反応し舌なめずりをした。
牧野さんと名前を呼びながらイくのだろうか。
(牧野さん……)
(牧野さん、この商品なんですか?)
(牧野さん、それ、俺のマグカップです)
(牧野さん、羊みたいですよ)
自分の名前を呼ぶ亮を思い出したら、次々と日常の亮の姿が浮かんできた。
「亮くん、嫌がるかな……」
もし、体をつなげることが親密になることにならなかったら……
そう思ったら、牧野の興奮は一気に冷めた。
いつもなら何も気にしないのに
いつもなら気持ち良くなれば喜んでもらえると思うのに
いつもなら、怖いと思うことなんてないのに
牧野は自分の心にある感情がわからず戸惑った。
「う~……牧野さん……」
亮が寝返りを打ち、牧野は慌てて亮から飛び退いた。
心臓がうるさい。
胸に手を当ててゆっくりと深呼吸をする。
「僕も、寝ようかな……」
帰りの新幹線、牧野はずっと車窓を眺めていた。
いつも夜半過ぎまで体力を使っているからこの時間は眠たいはずなのだが、昨日はよく眠れてしまった。
「牧野さん?また限定のパン売ってますよ?」
「うん。もう大丈夫かな」
牧野の態度に、亮は焦りを感じながら、必死に昨晩の記憶を辿っていた。
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