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3.ぶつかる意見

 全員でよく話し合った結果、とっきーとげんちゃんもこの喫茶店で働いてもらうことになった。  最初は俺が心配だから勢いで言っているのかと思ったけど、二人の決意は固くて本気だったことが良く分かった。  俺も二人と一緒に働けるなら嬉しいし、安心だ。  知らない人を雇うよりは、なんでも言い合える友達と働く方が気も楽だし心強い。 「そうと決まれば、ガンガン決めていった方がいいっしょ。蒼樹(あおい)は、ぼーっとしてるからどうせコーヒー淹れてくっちゃべってればいいくらいに思ってたんだろ」 「そんなことはないけどさ。でも、慌ただしい店じゃないし。あんまり騒がしい店になるのもなーって」  俺はこの店ののんびりした雰囲気も好きなんだけど、店を潰さないようにするのも大切だからな。  かといって、とっきーの女性人気だけに頼った流行りのカフェのような……きゃーきゃー騒がしい店にするってのも違う気がする。  何より、店の雰囲気を全て壊すわけにはいかないんだよな。 「俺はこの憩いの場が好きだから、映え写真撮ってネットに投稿されてーみたいなのは嫌なんだよ。常連さんたちも大切にしたいんだ」 「でもさ、ある程度宣伝は必要だろ。今までだって蒼樹のおじいちゃんが貯金を崩しながら経営してたんじゃねぇの?」  とっきーの言ってることはごもっともだ。  じいちゃんがいなくなった今、そう甘いことも言ってられないか。  俺が悩んでると、げんちゃんがポンと肩を叩いて励ましてくれる。 「だからと言って、全て鷺羽(ときは)の言う通りにする必要はない。蒼樹の店だから、蒼樹の思い通りにするのが一番いい」 「玄暉(げんき)はどうせ何も考えてないんだから、黙ってろって」 「とっきー! 言い過ぎだろ。げんちゃんは俺のことを思って言ってくれてるんだから」  げんちゃんととっきーはよく意見が衝突する。  とっきーは非効率なことが好きじゃないから、俺のぼんやりとした意見だろうが関係なく真っ先に賛同してくれるげんちゃんとぶつかることが多い。  でも、とっきーの言っていることも間違っていないし、俺と店のためを思って言ってくれてるのはよく分かる。   「俺も……二人が働いてくれるなら、この店の店主として二人の意見を取り入れたい。だけど、俺の思い描くレトロ喫茶の雰囲気も壊さない。プラムコレクトは、そういう店にしていきたいんだ」  改めて二人を見る。  とっきーはげんちゃんに言い過ぎたって顔に書いてあるし、げんちゃんも何かしら考えようとしてくれてるのが分かる。  二人とも俺に甘いのは昔からだから、俺の言う意見が通っちゃうんだよな。  そんなに俺を優先しなくてもいいのに、とっきーも最終的にはあおちゃんファーストだーとかなんとか言って合わせてくれるし。  げんちゃんは常に俺の味方で変わらない。 「……蒼樹、この店の二階は今使ってないのか?」  げんちゃんは思いついたようにふと俺に聞いてくる。  俺は頷いて、げんちゃんを見上げる。   「うん。昔は二階も客席として使ってたらしいけど。今は一階だけしか使ってない」  一階もカウンターが五席、テーブル席が二人用と四人用を合わせて六席だ。  店内が賑わうこともあるけど、満席になることもなかったから特にリニューアルも何も考えてなかった。 「玄暉にしてはいいこと言うな。そうだ、二階を簡単にリノベして若い子用にすればいいんだよ。下でゆったり寛いでもらって上は少し騒いでも大丈夫ってことにすればいい」 「リノベって……掃除すればいけるか。もちろん、二人とも手伝ってくれるんだよな?」  俺がにっこりとわざとらしい笑顔を浮かべながら二人を見ると、とっきーも仕方ないなという顔をしながら大人しく頷いてくれる。  げんちゃんは任せろという表情で深く頷いてくれた。  言い出しっぺのとっきーには特に働いてもらうとして……改めて俺たち三人で始める新たなプラムコレクトへの第一歩を踏み出せそうだ。

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