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4.二階をリノベーション

 二階をリノベすることを決めてから数日後、俺たちはホームセンターと百均へ買い出しに行った。  まずは三人で大掃除をしてから、再利用できるものは色を塗り直したりしてきれいにし、古くなった壁紙は新しく貼り直した。  レトロ喫茶の風合いは残しながら、同年代でも受け入れやすそうなレトロ感を取り入れてみた。  清潔感のあるレトロ? ブームはまた巡って再ブームになるというけど……そんなイメージだと思えば、分かりやすいのかもしれない。 「よし、これでいいだろ! めっちゃ疲れたわー」 「鷺羽(ときは)は口ばっかりで大して動いてなかった」 「だよなー。重たいものは全部げんちゃんにやらせてた」  俺とげんちゃんでとっきーを責めると、とっきーはあのなぁ、って何かを言いかける。 「俺だって頑張ってたっつーの。ボランティアで働いてやってるのに酷いマスターだな」 「とっきーだって俺だけ狙いうちして文句言ってない? でも、二人とも本当に頑張ってくれたもんな。優しいマスターは、せめてものお礼に冷たい飲み物を持ってくるよ」  俺は二人を残して一階に下りると、さっそく飲み物の準備を始める。  ちょうど冷蔵庫に作り置きの水出しコーヒーがあったはずだ。 「あったあった。作っておいて正解だったな」  コーヒーを少し細かく挽いておいて、夜のうちに冷蔵庫へ入れておけば朝にできてるんだから便利だ。  普段気軽に飲むのにはピッタリだと思う。  今日のコーヒーは余った豆同士をブレンドしてるから、何を入れていたのかは忘れてしまった。  けど、変な組み合わせにはしてないはずだからおいしいはずだ。  氷を入れたグラスを三つ用意し、アイスコーヒーをグラスへ注いでいく。  一緒にガムシロとミルクもトレーへ並べれば完成だ。 「後は……おしぼりも一応持っていくか」  トレーを持って、慎重に二階へ続く階段を上っていく。  階段をあがりきったところで、俺のことを待っていてくれたげんちゃんがトレーを受け取ってくれた。   「サンキュー。じゃあ一休みしようぜ」  とっきーは俺が戻ってきたことに気づくと片手をあげて俺たちを呼び、自分はさっさと椅子に座った。  相変わらず行動が早いところもとっきーらしい。   「そうだな。二人ともありがとう。では……リノベも無事に終わったことを祝いまして、乾杯!」 「乾杯」  グラスを軽く慣らして三人で乾杯をする。  冷えたアイスコーヒーは、頑張って動き回って火照っていた身体に染みわたっていく。  カランと音を立てる涼し気な氷の音色は、優しい癒しを与えてくれる。  俺もたまにはと思ってしばらくはブラックで飲んでいたけど、やっぱり甘いコーヒーが飲みたくなってしまってガムシロとミルクを足してしまった。  マドラーでぐるりとかき混ぜてから、改めてグラスへ口付ける。 「んー……! やっぱり甘い方がうまい!」 「ひんやりとしたコーヒーが染みわたるー! 蒼樹、これはお代わりもあんの? あるんだよな?」 「……鷺羽は図々しい」  喜んで飲んでくれるとっきーに対してげんちゃんがぼそっとツッコミを入れたから、おかしくなってしまって吹き出した。  確かに昔からとっきーは調子の良いことが多かった。  それもいつも周りを見て観察してるからこそ、なんだけどな。 「それくらい言ってもいいだろ? 図々しいのは俺たちをボランティアで付き合わせている蒼樹(あおい)だ」 「俺? 俺はじいちゃんの店をよくしたいから、貴重な二人の意見を聞いてお手伝いを頼んだだけだし? それに言い出したのはとっきーだもんな。でも……給料に上乗せしないといけないな」  俺が笑ってると、とっきーが無言でグイっとグラスを突き出してきた。  これは……お代わりってことだよな。  俺は、はいはいと笑って答えると、一旦席を立って一階へアイスコーヒーのポットを取りに向かった。

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