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7.持つべきものは友
円陣のあとはまた後日ってことで一旦解散になった。
俺も家へ帰って、埃だらけになった身体の汚れを落とそうとすぐにシャワーを浴びる。
「やっぱり、持つべきものは友だよな」
改めて、心強いって思った。
俺もぼんやりとお店のことを考えていたつもりだったけど、一人では改装もスムーズに事を進められなかった。
本当は一人で悩みながらゆったりとしたペースで、喫茶店経営を始めるつもりだった。
けど……俺って何も考えずに勢いだけで始めちゃうときがあるからな。
俺が突っ走った時、フォローしてくれるのは……いつも、とっきーとげんちゃんだった。
「俺も二人に頼られるレトロ喫茶のマスターにならないとな」
じいちゃんも、街の人たちに愛される店が一番だって言ってたからな。
今まで来てくれてた人たちもがっかりさせない店にしていきたい。
俺は決意も新たに、グッと拳を握りしめた。
+++
リニューアルオープンまでの数日は、順調に準備ができた。
って言っても、元々開いていた喫茶店だから器具の点検や食器の確認をして店で使う備品が足りているかチェックする作業が主だったからかもしれない。
オープンの前日には、期限の短い食料品を買って備えないといけないよな。
最初は近所の安いスーパーで買い過ぎないようにすればいいかな。
じいちゃんもこだわっていたのはコーヒー豆くらいだった気がする。
「そうだ、新メニュー決めたんだろ? 玄暉 、作ってくれよ。みんなで味見しないとな」
とっきーがふと発した言葉に対して、げんちゃんも作業を止めて振り返る。
「わかった。キッチン借りるぞ」
「どうぞー」
俺もお願いするように返事をする。
げんちゃんは冷蔵庫の中を覗いてから、ひょいひょいと手に取りながら材料を選んでいく。
何を作ってくれるんだろう? 俺は興味本位でげんちゃんの様子を後ろから眺める。
カレーじゃないことは何となく分かるんだけど、素人が見てるとさっぱりだ。
「蒼樹 、見ても分からないって顔に書いてあるから俺らは大人しく座っとこうぜ」
「でも、オーナーとしてげんちゃんがいないときは代わりに作らないといけないだろ」
「いや、玄暉がいない時は品切れにしとかないと。味が違うってクレームが出ても困るだろ。素人が作れる範囲のメニューは出すべきだけどさ」
確かに作り置きできるものなら問題ないけど、スイーツ系は特に技術が必要なイメージあるもんな。
とっきーが提案した限定メニューは、やっぱりげんちゃんがいる日の限定になりそうだ。
俺らがのんきに話している間にげんちゃんはキッチンに立ち、テキパキと作業を進めていく。
げんちゃんが料理をしてる姿って、男の俺からみてもカッコイイ。
流行りの店の整ったキッチンっていうわけでもないのに、げんちゃんがいるだけで華やかな感じすらある。
男らしさは健在なんだけど、一つ一つの動きが洗練されているんだろうな。
生クリームを泡立てているだけで様になるのは、少しうらやましくもある。
これは、女の子もキャーキャー言うはずだ。
「なーに見惚れてんだよ」
「いたっ! いや、カッコイイなって思ってさ」
とっきーが俺のおでこにデコピンしてくる。
おでこを擦りながらぼーっとげんちゃんの手元に視線を戻すと、またとっきーから不機嫌オーラが漂ってきた。
「……チッ。普段は脳筋な癖に、料理をすると男前ってズルいよな」
「男女関係なく、料理ができるってカッコイイと思うけど? とっきーはとっきーのいいところがあるんだからいじけなくてもいいのに」
「別にいじけてねぇし。そのフォローだかなんだか分からない言い方も腹立つわ」
俺たちの雑談なんて耳に入らないくらい、げんちゃんは変わらず作業に没頭していた。
げんちゃんの集中力は、俺も見習いたいところだな。
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