30 / 44

30.レトロ喫茶イーストに到着!

 レトロ喫茶イーストまでは、ナビによると三十分かかるらしい。  その間は史弥(ふみや)君の話やげんちゃんの新作スイーツの話をしていた。  史弥くんは飲み会でつぶれてしまって、とっきーが送っていったらしい。  それは誘ったとっきーがやるべきだってげんちゃんも注意していた。  で、昨日のグレープフルーツケーキの話もしたら……とっきーは俺たち二人が残ったことに不満そうな声をあげたけど、そのあと何かを思い出したのか、おあいこだから許すとかなんとか言っていた。 「とっきー、そろそろパーキングも近いんじゃない?」 「そうだな。玄暉(げんき)、その交差点を左に曲がって左手に見えてくるパーキングが安いらしい。ちょっと狭いらしいけど、玄暉なら大丈夫だよな」 「ああ。この車はそこまで大きくないから大丈夫だ」  とっきーナビとげんちゃんの運転で、無事にパーキングへ車を停めることができた。  目指すレトロ喫茶イーストはこのパーキングのすぐそばにある商店街の中らしい。 「確かドラッグストアをすぎてからすぐ見えてくるはず……あ、この建物だ」 「外にも懐かしい感じの看板がある。落ち着くレトロ喫茶って感じかな」 「今なら並ばずに入れそうだな。行こう」  とっきーが先陣を切って自動ドアを開けると、ふわりとコーヒーの香りが漂ってきた。  挽きたての香りはやっぱりいいもんだ。少し暗めの照明に落ち着ける雰囲気の店内。  俺の好きなレトロ喫茶そのものだ。 「いらっしゃいませ。何名様ですか?」 「三人です」 「かしこまりました。こちらのテーブル席へどうぞ」  とっきーが店員のお姉さんに伝えると、スムーズに席へ案内される。  制服は白の丸襟のついた黒のワンピースだ。  腰に白のレースのカフェエプロンを付けていて、可愛らしい感じだ。  案内された席に着くと、俺ととっきーが隣同士でげんちゃんが俺の向かい側へ座る。   「女の子を雇ったら、プラコレもワンピースだな」 「それ、ただのとっきーの希望じゃないの? 確かに可愛いけど……」 「今は一人いてくれるだけで助かるから、しばらくはワンピースの出番はないだろう。残念だったな、鷺羽(ときは)」  俺が言う前にげんちゃんがピシャリと言い放つ。  とっきーは、つまんなそうな顔をしてから立てかけてあったメニューを手に取ってテーブルの上で開いた。 「ホント、玄暉はつまんないヤツだよな。どれだけ蒼樹一筋なんだよ……って。俺はクリームソーダとハムのホットサンドにするかな」 「とっきーがチャラいだけだろ。俺は噂のクリームたっぷりのフルーツサンドとブレンドにする。げんちゃんは?」 「俺はクリームソーダとホットケーキのモーニングセット」  全員お目当ての物を決めてから、店員さんを呼んで注文する。  俺は店員さんに頼んだ後も、デザートの写真を眺めていた。 「蒼樹(あおい)、デザートも頼まなくて良かったのか?」 「迷ったけど、俺フルーツサンド頼んじゃったからどうしようかなって。お腹いっぱいにならなければ、プリンアラモードも頼んでみようかなと思ってさ」 「朝から生クリームはヘビーだと思うけどな。まあ、玄暉がどう見ても少なそうだから、蒼樹がお腹いっぱいでも玄暉が食べられるだろ」  とっきーは当然のことみたいに言うけど、げんちゃんに無理強いするほどでもないしなぁ。  でも、どんなプリンアラモードなのか写真だけじゃなくて食べてみたい気もするんだよな。

ともだちにシェアしよう!