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31.三人で分析してみる

 店の雰囲気は年季が入っている感じだ。  テーブルも昔から使い込まれている物みたいで、丸みを帯びた洋風な感じがする。  紙ナプキン立ても、デパートの老舗レストランで見かけたことがあるような銀色の懐かしいデザインだ。 「店の中も王道のレトロ喫茶って感じだよな。女の子たちの制服も可愛いし」 「とっきーは相変わらず目ざといよね。そんなに制服が気に入ったの? お店はレトロな雰囲気でも清潔感あるし、懐かしい感じが落ち着くから俺は好きだな」 「蒼樹(あおい)も分析していてえらいな」  げんちゃんが褒めてくれるのは嬉しいんだけど、子どもが頑張ったから褒められてるみたいな感じで少し恥ずかしい。  とっきーも過保護かよって突っ込んでるから、げんちゃんの俺への甘やかしっぷりは筋金入りなのかもしれないな。 「お待たせしました。お先に飲み物をお持ちしました」  店員さんが俺らの前に飲み物を順番に置いて行ってくれた。  クリームソーダは見ただけで分かる緑色で、バニラアイスと一緒にチェリーが乗っかっている。  俺は豆が気になるブレンドで、げんちゃんは珍しくホットティーだ。  最初はクリームソーダを頼んでいたはずだけど、少し考えてから店員さんを呼んで注文を変更してたんだよな。 「げんちゃん、もしかして味見のために?」  げんちゃんは微笑して頷く。  やっぱり、俺のためにわざわざ変更してくれたのか。  気を遣わずに自分の好きなものを注文してくれたらいいのに。でも、いつも俺に優しいのがげんちゃんだもんな。   「蒼樹はコーヒーと紅茶、どっちも飲みたいかと思ってな」 「ありがとう、げんちゃん。とっきーのクリームソーダも気になってたから、二人の飲み物も味見させて」 「蒼樹も真面目だよな。俺が視察しようって言い出したし、俺も真面目に味比べするか」  とっきーも笑いながら了承してくれる。  二人とも働いていなくてもプラコレのことを考えてくれて優しいよな。  料理ができるまで、全員で順番に飲み物を飲んでみる。 「コーヒーはブレンドだけど酸味がある感じだね。フルーティーで飲みやすい感じだからモカとかかな? ブレンドってことは他にも豆を混ぜてるだろうけど」 「そんな一口で分かるもんか? 蒼樹……さすがレトロ喫茶のマスター」 「紅茶は茶葉だろうか? ティーバッグの可能性もあるか」  二人とも、色々悩みながら味わってるな。  俺も絶対の自信はないんだけど、大まかに酸味よりか深煎りなのかの違いは分かるつもりだ。  クリームソーダのバニラアイスも懐かしい味で、これは業務用のアイスを乗せてるんだろうな。  食べ慣れた味こそ、レトロ喫茶って感じがして俺は好きだったりする。 「紅茶はスタンダードなダージリンっぽいね。ホットティーと言えばダージリンなイメージあるし」 「最近はアールグレイも増えてる気はするけどな。ダージリンは誰でも飲みやすいからいいよな」 「クリームソーダも昔懐かしい味で美味い。喫茶店には必ずあるイメージだ」  三人で色々分析していると、お待ちかねの料理が運ばれてくる。  俺たちはお互いの目の前に運ばれてきた料理を見ながら、自然と目を輝かせていた。

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