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第53話 受験、お疲れ様
レオの受験が、ついに無事に終わった。
ケント自身の受験は少しだけ先に終わっていたため、彼にとってはこの数日間がひどく長く感じられた。
分厚い参考書、何度も見直した模試の結果。
そして常に付き纏う見えないプレッシャー。
二人で励まし合いながら、必死に駆け抜けた日々だった。
そしてようやく、誰の目も気にすることなく。
心おきなくお互いに触れられる時間がやってきた。
今の家には幸いにも二人きりで、この誰にも邪魔されない日を、ずっと息を潜めるようにして待ち侘びていたのだ。
「レオ、本当に受験お疲れ様」
「……ケントも、ずっと我慢してくれてお疲れ様」
少し照れたように視線を逸らしながら笑うレオのその言葉。
ケントの中にあった理性の糸が音を立ててあっさりと切れた。
今日は夜になるまで絶対にこの腕から離さないと、強く心に決めていた。
手を引いてケントの部屋に入り、背後でドアの鍵をカチリと掛ける。
それだけで部屋の空気が密室特有の濃密な熱を帯び始める。
二人はもどかしさに耐えきれず、すでに身に纏うものをすべて床に滑り落としていた。
産まれたままの無防備な姿には、もうお互いに隠すものは何もない。
吸い寄せられるようにベッドへ倒れ込む。
愛おしくてたまらないというようにレオの唇を深く喰む。
ずっと触れたかった柔らかくて甘い感触に溺れながら。
さらに深く、深く口付けを交わした。
角度を変えて何度も唇を重ね、息を吸う隙間さえ与えないほどに貪り合う。
「んっ……ふ、ぁ……けんと、んむ……っ、ぁあ……っ、ん、ぅ……っ」
レオの喉の奥から、甘く切ない嬌声が絶え間なく漏れ出す。
少しの期間触れ合わなかっただけで。
激しいキスだけでレオの身体はすっかり快感に出来上がってしまっていた。
直接触れ合う肌から、お互いの熱すぎる体温がじんじんと伝わってくる。
静まり返った部屋の中に、ちゅっ、ちゅるっ、と、卑猥でいやらしい水音が響き渡る。
唇が離れるたびに鳴るその生々しい音。
二人の高ぶる感情をさらに激しく煽っていった。
ゆっくりとレオの身体をシーツの奥深くへと押し倒す。
そして目の前に広がる真っ白な肌に咲く桜色の花弁へと、そっと熱い唇を落とす。
「あ、っ……! ぁ……だめ、それ……んんっ、あ、っ!」
びくっと、レオの細い身体が大きく跳ね上がった。
その敏感な突起を口の中で優しくころころと転がし、軽く甘噛みをしてやると、レオの唇から信じられないほど甘く蕩けた吐息が漏れ出した。
声を出すまいと我慢しようとしているのは、ギュッと唇を噛み締めているその表情から痛いほどに伝わってくる。
それでも、内側から押し寄せる快感には勝てず。
くぐもった高い吐息が何度も漏れ出てしまっていた。
「ひゃ、んっ……だめ、あ……っ、あ、んっ……も、やだ、あぁっ!」
身体を重ねるのは少し久しぶりだった。
彼を驚かせないように、今はただ丁寧に、隅々までレオの身体を愛撫していく。
指先でなぞり、手のひらで包み込むように撫で上げる。
どこに触れてもレオの身体はビクビクと熱く震えて反応した。
無意識のうちに腰を浮かせながら、シーツを固く握りしめて身悶えるレオ。
どんなに恥ずかしがって声や反応を必死に我慢しようとしても。
その熱くかすれた吐息と、快感に震える身体は隠しきれないほど正直だった。
ふと顔を上げると、長いまつ毛を瞬かせるレオと視線がしっかりと絡み合う。
熱に浮かされてとろりとした潤いに満ちたその瞳。
この先にあるもっと深い繋がりを期待するように、小さく妖艶に揺れていた。
それを見た瞬間、ケントの我慢は限界を迎え、もう無理だと悟った。
「レオ……もう、限界」
「……ん、あ……はやく、きて……っ」
切羽詰まったかすれた声でのおねだりが、ケントの中の最後の引き金になった。
結合した瞬間、お互いの熱すぎる肌が激しく擦れ合う。
レオの狭く熱い中がケントを締め付けるようにぐねぐねとうねる。
少し腰を引いて離れようとしても、レオが足を絡めて決して奥から離してくれない。
「レオ、ちょっと力抜いて」
「……むりっ。……あ、ぁあ、っ! けんと、そこ、すごい……っ、ひぁ、んっ、ん、ぁ、あっ……!」
泣きそうな顔でしがみついてくるその姿。
どうしようもなく愛おしくて、可愛くて、ケントの頭の中は真っ白に染め上げられた。
お互いの荒い息遣いと、肌と肌が激しくぶつかり合う音が部屋中に響き渡りる。
空気が濃密な熱と特有の匂で満たされていく。
優しくする余裕なんて一ミリも残されていなかった。
今はただ、目の前にいる大好きな恋人を全身で貪り、感じることしかできなかった。
レオの甘い嬌声が、すぐ耳元で絶え間なく激しく響く。
切なく我慢しようと噛み殺す声の隙間から、こらえきれずに漏れ出てしまう甲高くて甘い声。
「あ、ぁあっ! けんと、あっ、けんとっ……! んんっ、あ、あぁっ!」
何度も、何度も快楽に溺れながら名前を連呼されるたびに、ケントの心はどろどろに満たされていく。
身体の奥底から、どうしようもないほどの深い愛情と黒い欲望が同時に湧き上がってきた。
休む間も与えずに何度も腰を打ち付ける。
深く、激しく、お互いの熱を直接確かめ合うように、境界線が溶け合うほどに強く結びつく。
「すき。レオ、すきだ……っ、めちゃくちゃ気持ちいい……っ」
「おれ、も……っ、けんと、すき……ぁあっ! もっと、っ、ん、あ、ぁあ……っ!」
熱い言葉を交わしては深い口付けで塞ぎ、また溺れるように言葉を交わす。
永遠に続くかと思われるような、甘く激しい快楽の時間の波。
二人は抗うことなく完全に飲み込まれていった。
閉ざされたカーテンの向こう側で夕陽が沈みかける頃。
激しい情事の果てに、レオはほとんど意識を失いかけていた。
「……あ、あっ、……けんと、すき……っ、けんと……!あ……っ」
激しく揺さぶられ、突かれる度に自然と声が漏れる。
意識の外で、うわ言のように何度も愛しい恋人の名前を連呼した。
完全に無意識の中から紡がれるその言葉が、ケントにとってはたまらなく愛おしかった。
「レオ……も、出る……っ」
「あっあっ、ん…… ッ!い、く、いく、いく……んんっ……!!!」
一際大きく締め付けたあと、最後の力を振り絞るように絶頂を迎えた。
さすがのケントも完全に力尽き、ベッドに沈む。
身体中が鉛のように重いけれど、それ以上に心地よい疲労感が全身を包み込んでいた。
ふと隣を見ると。
汗で少し額に張り付いた亜麻色の髪と、ほんのりと熱の赤みが残る頬をして。
すっかり疲れ切ってすやすやと眠るレオの顔があった。
最初は「受験お疲れ様」と優しく労ってやるつもりだったのに。
結局は自分の欲求を我慢しきれず、激しく抱き潰して彼をますます疲れさせてしまった。
目覚めたら、レオは本気で怒るだろうか。
「いくらなんでもやりすぎ」と言って、ベッドのクッションを思い切り投げつけてくるかもしれない。
いや、たぶん彼は、ひどく恥ずかしそうな真っ赤な顔をして。
「……もう、しばらくはいい」
と、プイとそっぽを向くはずだ。
でも、その後に絶対。
「……でも、すごく、気持ち良かった」
と、彼特有の小さな声で正直に言ってくれるだろう。
ケントは、そっとレオの額にかかる亜麻色の髪を撫でる。
ちゅっ、とこめかみに向けて優しいキスを落とした。
「おやすみ、レオ。本当によく頑張ったな」
愛してやまない可愛い恋人の無防備な寝姿を見つめながら。
数時間後に訪れるであろう呆れるほど甘くて幸せな未来を想像し、ケントもまた温かいまどろみの中へとゆっくりと目を閉じた。
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