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第4話 ひとりあそび*

「ふふん、ふーんっ。どーれにしよっかな~!」  段ボールの封を開けると、緩衝材の必要がないほど大量に詰め込まれた玩具が姿を現した。ユオシェンは無意識のうちに舌なめずりをしながら、玩具を次々に手に取って吟味し始める。 「これはイボつきディルドでぇ、こっちは変な形のバイブ? おっ、えっちな服もあんじゃん! これ着て出迎えてやろっと!」  薄いレースでできたそれを箱から引っ張り出し、ユオシェンはいそいそと着替え始める。薄すぎて破いてしまいそうになるそれを慎重に身に纏うと、彼はリビングの姿見の前に立って、己の姿を確認した。  白を基調としたやけに露出の多いネグリジェだ。到底、ユオシェンのような成人男性が着用するのを想定されているとは思えないデザインだが、不思議とそのサイズはユオシェンにぴったりのものになっている。 「世の中には変態さんもいるもんですねーっと」  その変態の中に自分の恋人も含まれていることからは目を逸らしつつ、ユオシェンはくるくると回って姿見で己の全身を観察する。  V字に空いた胸元からは、数日前の情事でつけられた歯形がいくつも覗いており、申し訳程度の薄さしかない半透明のレース生地の向こう側にはほとんどヒモのようなパンツと、空気にさらされたことによって主張を始めている乳首が透けて見える。  なんだか急に恥ずかしくなって胸を隠したが、その拍子にレース生地が乳首にこすれて、痺れるような快感がユオシェンの脳へと走った。 「んっ、ぁ………♡」  開発されかけたまま放置されている場所への突然の刺激に、ユオシェンの体は完全にスイッチが入ってしまい、蕩けた顔でその場にへなへなとへたり込む。 「ま、まだっ……こんな昼間なのに、ぅんっ……♡」  麗らかな日差しの差し込むリビングで乱れ始めているという事実に、体はさらに興奮し、もっと決定的な刺激を求めて無意識のうちに胸の先端をいじり始める。 「んっ、ふぅ……あっ♡ き、もち、いいっ♡」  指で軽く弾くたびに、もっともっとと請うように自然と胸を突き出し、せっかく新品のランジェリーだというのに股間にはじわりと染みが滲んでいく。 「あっ、ん、あっ♡ とまんない、これぇ……♡」  カリカリと爪で引っ掻くと、甘い刺激で腰が震え、何かを求めるように舌を突き出してユオシェンは喘ぎ続ける。  ふと目の前を見ると、淫靡な服を身に纏って発情している自分の姿が姿見越しに目に入り、いつも自分の恋人はそんな己を見ているのだという羞恥に襲われる。 『この、変態』 「~~~~~ッッ……♡♡♡♡」  想像上の彼に詰られただけで、ユオシェンは派手に絶頂し、何度も大きく痙攣しながら欲を下着の中へと吐き出してしまう。  その湿った感触にすら興奮しながら、ユオシェンは座ったまま前に倒れるような姿勢で絶頂の余韻に浸り続けた。 「アハッ……イっちゃっ、たぁ…………♡」  一度絶頂したのにまだ足りないのか、右手の指先はまだ乳首をいじめようとゆらゆらと揺れている。ユオシェンはその欲求のままに、人差し指で胸の先端を強く押しつぶした。 「う、ぁあ”っ♡ あっ、ぅ……♡」  先ほどよりも強い刺激に体は悶えたが、絶頂にまでは至らず、ユオシェンは這いずるような姿勢で視線を巡らせて、決定的な快楽を与えてくれるものはないかと探す。彼の目に留まったのは段ボールからこぼれ落ちていた、クリップと鈴のついた細いチェーンだ。  ユオ0シェンはふらふらと立ち上がると、それを拾い上げて姿見の前まで戻ってくる。乳首を挟んでいじめるためのそれを見下ろすだけで、彼の脳は期待で満たされ、興奮した犬のように呼吸が浅く速くなる。 「はっ、は、へっ………、んっ、ぎっ、あぁああ”っ……♡♡♡」  クリップを摘まんで、右の乳首を挟む。緩やかに尖ったギザギザによって乳首は強く挟み込まれ、強い痛みが危険信号を伴って背筋を駆け抜ける。  だけどユオシェンの体はそれをすぐに快楽へと変換し、痛みで熱を持つ胸を張るようにのけぞりながら、彼は押し寄せる快楽に耐え続けた。 「あっ……ぁ、ぁ……♡ も、もう、片方もっ……」  震える手で左の乳首へとクリップをつける。 「んぎっ♡ あ”っ♡ あ、ぁ♡ ……ん、ひっ、ぐぅ♡♡」  誰にも命じられていないのに痛みを伴う快楽を己に与え、それを帰ってきたシイナに嘲られる妄想で達し続ける。繰り返される絶頂でこまかく痙攣する体と同調するように、チェーンの先についた鈴がチリチリと音を立てた。  ようやく絶頂の波が収まってきたユオシェンは、改めて姿見に映った自分の姿を確認する。 「アハッ♡ すっげーえっちじゃん、俺っ♡」  透け透けのランジェリーを汗で体に張りつかせ、その奥に隠される乳首からはまるで奴隷のようにチェーンが伸び、身じろぎする度に淫靡に鈴の音が鳴る。  きっとこれならシイナは喜んでくれる。少しばかり早すぎる用意になってしまったけれど。  時計を見ると、時刻は昼下がりだった。いつも通りなら、彼が帰ってくるのはどれだけ早くても日没後だ。 「ま、いっか。それまで放置プレイだと思えば……、んっ、ぅ…♡」  立ち上がっただけで鈴の重さにクリップが引っ張られて甘い声が出る。先が思いやられるとは思いつつ、耐えられなくなったら他の玩具で自分を慰めていれば良いと考え始めたその時――、不意に玄関のインターホンが何者かによって鳴らされた。 「えぇ、何ぃ……? 宅配とか頼んだっけぇ……」  歩くだけで快楽を拾う全身を叱咤し、ユオシェンは壁のインターホンへと歩み寄る。 「はいはーい、どなたぁ?」 「お届け物です。受け取りをお願いします」 「エー? そこ置いといて。今、手が離せないからぁ……、んっ……♡」 「直接お渡ししないといけない荷物なんです。受け取りをお願いします」 「ウェー……」  面倒だという顔を隠しもせずに答えると、ユオシェンはその辺にかけてあったシイナのコートを羽織って玄関へと向かう。少し汚してしまうかもしれないが、この格好で外に出るよりはマシだったと弁明しよう。 「まったく、荷物が来るなら先に言っとけよなー……」  ブツブツと言いながらユオシェンは玄関のドアを開ける。そして、荷物を持ってきた男の顔を見上げて声をかけようとしたその瞬間――彼の首筋に鋭い痛みが走った。 「ぎ、ぃっ……!? ……あ、ぇ………?」  訳も分からぬまま脱力した体は、そのまま前へと倒れていく。意識を失う寸前、宅配の男がスタンガンを持ってニヤついている姿が視界に映ったような気がした。

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