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第6話 我慢比べ*
男の口にした提案は、まるで死刑宣告のような響きでユオシェンの鼓膜を揺らした。
コイツらにイタズラされる? 何か反応をして起きてるとバレたら犯される? こんな、強く自分を保たないと快楽に流されてしまいそうな格好をしているのに?
絶望で震えだしてしまいそうになるユオシェンをよそに、男たちはその提案を採用することにしたようだった。多少揉めるような話し声がした後、一人の男の声がユオシェンへと近付いてくる。
「へへっ、じゃあ一番乗りは俺ってわけで!」
「制限時間は三分だからなー!」
「分かってるって!」
男の手が近付いてくるのを肌でうっすらと感じながら、ユオシェンは覚悟を決める。
三分。たったの三分間だ。それを耐えればきっと次の奴までには、多少の休憩時間ができる。きっとそれなら俺にだって我慢できる。
だがその決意は僅か数十秒後に、もろくも崩れ去った。
「じゃ、いっただっきまーすっ」
胸元で声がして、続いて生ぬるくて湿った舌がべろりと乳首を舐める。
「~~~ッ!」
反射的に体が跳ね、股間に熱が集まる。胸を舐めた男は嘲笑の声を上げた。
「おいおい、もうお目覚めかぁ?」
「……」
ユオシェンは沈黙でそれに応える。離れて見守る男たちから野次が飛んだ。
「意識がねぇのに淫乱すぎて体が反応したんじゃねーかぁ?」
「ハハッ! 顔も名前も知らねえ男に舐められて興奮してんのかよ。救いようがねぇな! 会計係が知ったらさぞ悲しむだろうなぁ?」
ゲラゲラと笑いながら会話をする男たちの声を、ユオシェンは必死で受け流す。ダメだ。これは挑発だ。ここで反応したらおしまいなんだ。
屈辱と絶望で顔が歪みそうになるのを堪え、ユオシェンは体から力を抜き続ける。すると、胸を舐めてきた男はニヤニヤと笑っているのが分かる声で言った。
「ふーん、じゃあ意識のないままイキ狂わせてやろうかなっと!」
嫌な予感で息を呑みそうになる。次の瞬間、男はもう片方の乳首に舌を這わせ、その先端を舌先で弄び始めた。
「……ッ、…っ………! ~~ッ……!」
同時に空いている側の乳首を指でこね回され、ユオシェンの体は陸に揚げられた魚のようにビクビクと跳ね回る。視界を奪われて無抵抗のまま与えられる甘い刺激に彼の体は、嫌悪を感じる心とは裏腹に発情し始めていた。
ガリッと歯を立てられ、ユオシュンは情けないほどあっさりと絶頂する。
「ッ、っ、~~~~~ッ♡♡♡」
ほぼ同時にタイマーが鳴る音が聞こえ、ユオシェンは地獄のような責め苦から解放された。
「はぁっ……はぁっ…………」
自然と荒くなった息を整えるが、それでも声だけは出さなかった。遠くでヒソヒソと男たちの話し声が聞こえ、次の男がユオシェンへと歩み寄る。
「じゃあ次は俺だな。ハニーちゃーん? 新しいダーリンからのキスでちゅよ~?」
男はユオシェンの顔を捕まえると、その唇を強引に奪ってきた。反射的に口を閉じたが鼻を摘ままれ、呼吸を求めて唇に隙間を空けてしまう。
「っ……んっ、ふ…うぇっ…………」
こじ開けられた唇から舌が口内に侵入し、内側を無遠慮に荒らし回る。息苦しさから多少声が漏れたが、男は気付いていない様子でユオシェンを蹂躙し続けた。
気持ち悪い。シイナ以外とキスなんてしたくないのに。調子に乗りやがって。
今すぐに相手の舌を噛みきりたい衝動を堪え続けること数十秒。不意に男の手がユオシェンの胸に伸び、戯れのようにそこをもてあそび始めた。
「んっ、ぐっ……ぇ、あっ……ふ、おぇ………っ」
強引なキスでえずいているというのに、胸の先端は浅ましく快楽を拾い、耐えなければと思うのに声が出てしまう。自分から舌を絡めた方が呼吸が楽になるのは分かっていたが、その選択肢を採ることもできず、ただただ男の蛮行を受け入れることしかできない。
永遠にも思える苦痛の時間はタイマーの音によって終わりを告げ、男はユオシェンから顔を離し、頬を数度ペチペチと叩いて嘲笑った後、去っていった。
これでやっと二人目だ。あと何人耐えればこれは終わるんだ。
彼らが全員で何人いるのかも分からない今、この責めがいつ終わるのかは見当もつかない。30分? 1時間? まさか、このまま無反応を貫いたら二周目とか言い出すんじゃ。
考えれば考えるほど絶望的な状況であることを理解してしまい、心が折れそうになるユオシェンを、次の男は台から引き摺り下ろした。
無理矢理床に座り込む姿勢を取らされ、目の前でジッパーが下げられる音がするのを聞く。今から何をさせられるのか理解したユオシェンは口を固く閉じた。
「おい、口開け。抵抗すんな」
「……」
前髪をつかまれ、唇に性器の先端を押しつけられても、ユオシェンは頑なに口を開こうとしなかった。すると男はわざとらしく大きな声でユオシェンへと語りかける。
「おっかしいなぁ。意識がないんなら、こんな風に抵抗するはずねぇんだけどなぁ?」
ハッと気づき、ユオシェンは唇から力を抜く。その隙を突いて、男の性器はユオシェンの口の中へとねじ込まれた。
「んっ、ぐ、ゴッ……ごっ、ゴボッ…………」
男はまるで性処理用の玩具を使うように乱雑に、ユオシェンの喉の奥を突き続ける。息が出来なくて半ばパニックになった体が無意識のうちにその行為から逃れようと暴れたが、がっしりと後頭部を掴まれているので逃げることができない。
「おらっ! ちゃんと喉使えっ!」
ほとんど飲み込んでしまいそうなほど奥底まで性器をねじ込まれ、呼吸を奪われた頭がくらくらと痺れ始める。それを快感だと錯覚しそうになる己の脳が恨めしかった。
「出すぞ! 全部飲めよ!!」
「ご、ごぁ……ぁっ…………♡」
意識が飛びかけ、目隠しの下で黒目がぐるりと上を向く。流し込まれる精液を喉を鳴らして全て飲み込んでいく。吐き気が込み上げたが、未だ口内に挿入されているもののせいで吐くこともできず、ユオシェンの体は小刻みに痙攣した。
やがて喉から性器が抜かれ、ユオシェンは床に手を突いてへたりこんだ姿勢で何度も咳き込む。そんな彼の目隠しを男は掴み、勢いよく剥ぎ取った。
急に視界が開け、薄暗い倉庫の中で男たちに見下ろされているという光景が目の前に広がる。今し方までユオシェンを責め立てていた男は彼の顔を覗き込むと、にやりと笑った。
「残念だったな。お前が起きてることなんて最初から分かってたんだよ」
「お前も気持ちよさそうだったし、文句はねぇよな、ハニーちゃん?」
「ギャハハハ!」
「ぇ……」
ユオシェンは絶望から、ただ呆然と男たちを見上げる。
冷静になれ。手枷はまだあるがそれを固定していた鎖は外れているのだから、逃げ出すべきだ。そう分かっているのに、怖くて立ち上がることすらできない。
「そんな怯えた顔すんなよ。今日からは俺たちがお前のダーリンなんだからさ。それとも、ダーリン助けて~って今から泣きわめいてみるか?」
「ハハハ! 助けなんて都合良く来ねぇのになぁ!」
ゲラゲラと下品に声を上げて、男たちは笑い合う。ユオシェンはそんな男たちを、なけなしの勇気を振り絞って睨み付ける。
――その時、倉庫の外がにわかに騒がしくなった。
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