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第7話 命乞いの代償*

「…テメェ、このっ………!」 「ぜ、全員でかかって……ぎゃあっ!?」  騒ぎは徐々に近づいてきて、倉庫内の全員が外につながる唯一のドアへと目を向ける。ごくり、と喉を鳴らす音が聞こえるほどの静寂を挟み、金属製のドアは乱暴に蹴りあけられた。  その向こう側から現れた人影に、ユオシェンは思わず声を上げる。 「ダーリンっ……!」 「迎えに来たぞ、ハニー。まったく世話の焼ける……」  眉間に青筋を立て、血を這うような低音でシイナは言う。普通の人間であれば恐ろしさを感じるその姿は、ユオシェンの目には何よりも頼もしくて愛しいものに写った。  シイナは男たちに囲まれるユオシェンに向かって、重々しく一歩を踏み出す。ほとんどの男はそれに怯んだが、唯一リーダー格の男だけは素早く拳銃を取り出してユオシェンの頭部に突きつけた。 「動くな! 動いたら可愛いお前の恋人の頭に風穴が開くことになるぞ!」 「っ……!」  突然目の前に現れた命の危機に、ユオシェンの全身は硬直する。シイナもまた動きをぴたりと止めると、憎々しげにリーダー格の男を睨みつけた。 「……要求は何ですか。あなた方の目的は私でしょう」  よそ行きの丁寧な口調ではあるが、その目はギラギラと殺意で輝いていた。少しでも隙を見せたら喉笛を食い破られると予感させるほど獰猛な表情で、シイナは男を睨みつける。男は冷や汗をかきながらも銃口をユオシェンに向けることはやめず、虚勢を張るように声を張り上げる。 「テメェに教えてやる義理はねぇな! おい、お前ら! そいつを拘束しろ! 会計係ぃ、恋人の命が惜しいなら抵抗するんじゃねぇぞぉ?」 「チッ……」  シイナは大きく舌打ちをしたが、一切抵抗することなく拘束を受け入れた。手を後ろで縛られ、拳銃を突きつけられた彼を見てユオシェンは青ざめる。  このままじゃまずい。俺にできることをしないと。でもどうすれば。  泣きそうな顔で必死で考えた末にユオシェンが出した結論は、周囲の男たちに懇願することだった。 「な、なあ頼む! シイナに酷いことしないでくれ! お、俺を犯したいなら犯してくれていいから! 抵抗しないし精一杯サービスもするし、それで、それでっ……」  涙をポロポロとこぼしながら、手首を前で拘束された状態で男の足元に縋り付く。男は邪悪な笑みを浮かべた。 「はっ! 殊勝なこと言うじゃねぇか! 泣けちまうよなぁ、お前ら!」  リーダー格の男が周囲に同意を求め、周囲は形勢逆転したと判断してまだ冷や汗をかきながらゲスな顔で笑い合う。シイナは視線だけで人を射殺(いころ)しそうな目で、リーダー格の男を睨みつけた。 「おお怖い怖い。あんな風に睨まれたら、ハニーちゃんのお願いを聞く気もなくなっちまうなぁ」 「っ……!」 「いや、俺は優しいからなぁ。ハニーちゃんが今から俺の言う通りのことをしたら、一旦会計係の命は取らないでおいてやるよ」  ねっとりとまとわりつくような声色で男はユオシェンに言う。ユオシェンは青ざめた顔で唇を震わせながら、男の顔を見返した。 「な、何をすれば、いいのさ」 「簡単なことさ。おい、道具持ってこい」  リーダー格の呼びかけに応えて、男たちはプラスチックの大きなケースを持って戻ってくる。リーダー格の男はその中をゴソゴソと漁り、そこから取り出したものをへたりこむユオシェンの前に無造作に放り出した。  それは、グロテスクな形をした巨大なディルドだった。ゴム製の本体には金属の球がいくつもついており、その形状自体も人間の陰茎とはかけ離れている。長さと太さも常軌を逸しており、快楽を与えるためというより単純な苦痛を与えるための見た目をしている。  明らかに使われる人間を壊すために作られたと思われるそれを前にして、ユオシェンは怯えの含まれた視線を男に向ける。男は、悪意に満ちた笑みを浮かべた。 「それを使ってこの場で――俺たちと恋人の前で、イキ狂ってみせろ。俺たちが満足するまでやめることは許さねぇぞ?」

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