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第13話 注文の多いマイハニー*
触れるほどの距離でまつ毛に涙を乗せながら懇願する。シイナは大きく嘆息した。
「……今日ぐらいは休ませてやろうと思ったのにまったくお前は」
「えへへ、エッチな俺は嫌い?」
「まさか。後になって泣いて嫌がってもやめてやらないからな」
メガネの奥の切長の目が、獰猛な色でユオシェンを見る。目の前に置かれたご馳走に余裕を失いつつある肉食獣のようなその形相に、ユオシェンの体に歓喜の震えがぞくぞくっと這い上がった。
「あはっ、じゃあ道具みたいにぐちゃぐちゃに犯してよダーリン♡」
「はいはい、俺のハニーは注文が多いな」
もつれあうように体を重ね、二人は噛み付くようなキスを交わす。やや乱暴に感じる動きで口内を愛撫されても、そこにあるのが愛情と優しさであることは確信できて、ユオシェンは幸せそうに目を蕩けさせた。
「……んむっ、ちゅ…ぷはっ……♡ シイナぁ、胸いじめてぇ……♡♡」
「ダメだ。これ以上やったら治りが遅くなる」
「エー、でもさっき酷く抱いてくれるって言ったのにぃ」
拗ねた顔をして自分で胸をいじろうと手を持ち上げたユオシェンの頬を、シイナは片手で掴むようにして捕まえる。
「へえ? お前は俺に突かれるより乳首をいじる方が嬉しいのか?」
「ち、ちがうっ、シイナに腹の中ガシガシ突かれる方が好き!」
「じゃあ今日はもう胸は我慢できるな?」
「……はぁーい」
まだ不満げに唇を尖らせるユオシェンの頭を軽く撫でると、シイナは一旦ベッドを離れ、やや大判の絆創膏を取ってきてユオシェンの両胸に貼り付けた。
「んっ……♡ ダーリンの意地悪ぅー」
「お前の要望通りにしたら罰にならないだろ、バーカ」
「だってぇ……ん、んぅっ、ンっ♡」
納得できていないユオシェンの服を剥ぎ取り、シイナは後ろの穴へとそっと触れる。つい昨日、乱暴な責め苦を受けたばかりのそこには、不思議と大きな傷は残っていなかった。
焦らすように穴の近くを指でなぞると、すぐにその感触は柔らかくなり、早く入れて欲しいと請うように穴がぱくぱくと収縮する。
「そういえばまだ聞いていなかったが……あのクズ共の性器は、この穴で咥え込んだのか?」
ほんの少しの苛立ちと緊張を滲ませて、シイナは問う。几帳面に整えられた彼の爪がユオシェンの肌に食い込み、ユオシェンは甘い声を漏らした。
「んっ……♡ 咥え込んでない! ……と思う。気絶してた間は分かんないけど……」
「そうか」
「んぁっ……あっあっ♡ 急に、そんな深くっ、んっ……♡」
シイナは己の指を二本、ユオシェンの中へと滑り込ませ、彼の一番好きなところの近くをぐりぐりと刺激する。
「あっ、アッ♡ ちが、そこじゃっ♡ もうちょっと、んっ、ぃ♡」
「答えろ、ユオシェン。お前の持ち主は誰だ?」
「し、しいなっ♡ しいなが、おれのっ♡ ご主人様です、ぅっ♡♡」
「よく言えました」
「お、あ”ぁあ、あっ……♡♡ あっ、ぎっ、ひぃ”っ♡」
ご褒美とばかりにそれまでわざと外していた急所を勢いよく押し込む。息継ぎも難しいほどの連続した刺激を何度も与えられ、まだ指でされている段階だというのに、ユオシェンの顔からは余裕が消え失せつつあった。
「ふーん? 随分気持ちよさそうだな。今日はこのまま指だけでいじめて終わろうか?」
「ひぇ、へっ?♡ や、やら、あっ♡ ぎっ♡ シイナのっ、シイナの、ほしいっ……♡♡」
「じゃあ、ちゃんとおねだりしような。俺が思わずお前をヤリ殺したくなるぐらいのやつを頼むぞ?」
シイナは内側から指を抜くと、ユオシェンから少し離れて彼の行動を促す。ユオシェンは興奮しきった顔で姿勢を変えると、うつ伏せになってシイナが入れやすいように尻を高く上げた。
「シイナのおちんちん入れてくださいっ♡ 俺はシイナだけのものだからっ♡ 俺のことオナホみたいにぐちゃぐちゃに使ってくださいっ♡♡ 他の奴のことなんか忘れさせて♡ シイナが一番だって俺の体に思い知らせてっ♡♡♡」
「はぁ……ったく、注文が多い奴だなっ!?」
「んぉ、ゴッ……が、ッ~~~~~~♡♡」
一突きで最奥まで貫かれ、くぐもった悲鳴のような喘ぎ声がユオシェンの口から漏れる。衝撃と快楽で震える体が落ち着くのを待たず、シイナは勢いよく抽送を開始した。
「おっ、ゴッ♡ ひ、ぎ、ぁあっ♡ んぐ、アッ、あ、いいっ♡♡」
ばちゅばちゅ♡♡と叩きつけるような責めがユオシェンの内側を抉り続け、押し上げられた肺から上がる空気が濁った声となって喉を震わせる。
己の内側を食い荒らすような勢いの欲をぶつけられ、シーツをきつく握ってそれに耐えながら、苦痛を上回る快楽でユオシェンは意識を揺らしていた。
「あ、お”っ♡ おっ、オッ♡♡ ぎ、ひっ、しゅきっ♡ これ、しゅきっ、もっとぉ♡♡♡」
余裕など一切無いはずの声と表情で、ユオシェンはさらに強い快楽を求めて背後の恋人に注文をつける。シイナはユオシェンの腰を掴んだまま、薄く目を細めた。
「お”っ、あ、ぁっ♡ シイナっ、なんで♡ 返事してくれにゃ、いのっ、ン、ぎっ、アッ♡」
無言のまま内側を抉られ続け、ユオシェンの内心に不安が芽生える。もしかしてシイナは怒っているんじゃ。なんで? どうしよう?
その疑念を確かめたくても、後ろから犯されているせいで彼が今どんな顔をしているのか分からない。
「し、しいなっ♡ ご、ごめんなさい、ごめんなしゃいっ♡ 謝るから許してっ♡♡ あっ、あ”、あっ♡ ぎっ♡」
いくら謝罪してもシイナからの返事はない。心細さから喘ぎ声に涙が混じり始め、不安に思う心と快楽に悦ぶ体の間でどうすることもできず、ユオシェンはシーツにしがみつき続ける。
「ぐすっ、ごめんなさっ、ひっ♡ あっ、ぁ♡ うぅ……」
すっかり元気のなくなったユオシェンを見下ろし、シイナは愉快そうに唇の端を上げてようやく口を開く。
「おかしいなぁ? オナホみたいに使ってほしいって言ったのはお前だよなぁ? オナホ相手に口を利かないのは当然だよな?」
「へ? あ、ぐっ♡ や、やだっ♡ オナホやだっ♡ 返事して欲しい♡ シイナの声聞きたいっ♡♡」
「はぁ……本当にお前はワガママだな」
シイナはユオシェンの上に覆い被さり、角度を変えて奥底を抉り始める。ユオシェンは明らかに安堵した顔で喘ぎながら、背後のシイナに振り向こうとした。
「で、でも、シイナぁっ♡」
「ん?」
「シイナだって♡ ワガママな俺のこと、好きなくせにっ♡ ん、あ”、あ”ぁ、ぁあー……っ♡」
挑発するように言ったユオシェンを咎めるように、興奮で膨れ上がったシイナのモノがユオシェンの中に激しく叩きつけられる。ユオシェンは一瞬で余裕を失い、ただ欲をぶつけられて喘ぐだけの存在になった。
「あ”、あぎっ、あっ♡♡ あ”ぅ、ひ、ぎっ…いっ、ん♡♡♡」
「……ユオシェン、出すぞ」
「あ”、あ”ぁあーーっ……♡♡ あ”ぅ、うあ、お…………♡」
意味をなさない濁った音がだらしなく開いたユオシェンの口から漏れる。腹の中へと注ぎ込まれた白濁の熱を感じ、思考らしきものを全て奪われた状態でユオシェンは遅れて絶頂した。
「お”…あ……ひ…………♡」
うつ伏せで腰を上げた姿勢で全身をガクガクと震わせてユオシェンは吐精する。シイナはそんなユオシェンの余韻を断ち切るかのように、彼の体をn仰向けにひっくり返した。
「まさか一回で終われるなんて思ってないよな?」
「は、ぇ……? え………?」
状況が上手く理解できていない顔できょとんとしているユオシェンに、シイナは愛しさを込めて獰猛な笑みを向ける。
「もう一個良いことを教えてやる。……実は、今までのお前とのセックスで、俺のこれは根元まで入ってなかったんだよ」
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