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第17話 寝たふりとの攻防*

「ユオシェン、寝てるのか?」  彼の背中にシイナが呼びかけるも、ユオシェンからの返事はない。ふとサイドテーブルを見ると、置いておいたケバブのゴミだけがあった。  どうやら食事だけは食べてくれたらしい。一旦、安堵するのとほぼ同時にシイナは仄かな違和感に気付く。  妙だ。ただ眠っているにしてはユオシェンの体に力が入りすぎているように見える。まさか寝たふりか? 「ハニー、本当に寝てるのか?」  逆側に回り込み、ユオシェンの顔を覗き込む。ユオシェンは若干不機嫌そうな表情で固く目を閉じていた。  これは起きているな。  そう確信したシイナは歌うようにユオシェンに囁く。 「目を開けないならこのままキスするがいいんだな?」  ぴくりとユオシェンの目の端が揺れたが、瞼が持ち上がることはなかった。シイナはしばらく待ってあげた後、ユオシェンの顎を指で持ち上げ、顔を近づけようとする。  しかしユオシェンはそれをはねのけるように寝返りを打ち、シイナに背を向けてまた黙り込んだ。  シイナは苦笑しながら可愛らしい拗ね方をしている恋人を眺めた後、ちょっとした悪戯心が己の中に湧き出るのを感じた。  そういえばこの前の一件で、ユオシェンは寝たふりで奴らをやり過ごそうとしたけど、エッチなイタズラをされて挙げ句の果てに寝たふりが最初からバレてたのが分かって、最悪だったと言っていたな。寝たふりをして気持ちいいのを耐えるユオシェンとかいう可愛い存在を、アイツらが見て、俺が視ていないというのも不公平な話だ。  かなり身勝手な論理でそう結論づけた後、シイナは薄く笑みながらユオシェンの体を見下ろした。 「そうか。寝てるのか。じゃあ俺が今から寝てるお前を犯しても抵抗はしないな?」 「……」 「沈黙は了承と取るぞ?」 「…………」  意固地になって黙り続けるユオシェンからシーツをそっと奪い取り、顔や喉に優しく触れる。もう一度キスを試みたが、顔を逸らされて断念した。 「さてと。興奮してもいない体に無理矢理入れるほど俺は鬼じゃないからなァ。どこから責めようかな?」  少しずつ這い寄る蛇を思わせる声色で言いながら、シイナはユオシェンんも寝間着の首元に手をかけ、ゆっくりと時間をかけてボタンを外していく。  まだこちらを許しては居なくても期待はしてしまっているのか、部屋の空気に晒された胸は僅かに震えていた。  その先端に貼られた絆創膏は何度か貼り直されているので、見た目はまだ新しい。シイナは絆創膏の端を摘まむと、ゆっくりと焦らすような速さでめくっていった。 「……っ…、ッ………」  ペリペリと音を立てて絆創膏は剥がれていき、その下に隠されていた乳首が顔を出す。しばらくいじることすらされていないそこは、これから行われる責めへの期待で芯を持ちつつあった。 「これなら少しきつくいじめてもよさそうだなァ?」  シイナは、ユオシェンの乳首の周りを円を描くように優しく指でなぞる。 「ッ、……ン、っ…………♡」  ユオシェンの引き絞った唇から甘い息が僅かに漏れ、快楽に従順な胸は無意識のうちにさらなる刺激を求めて上へと突き出される。  シイナは喉の奥を鳴らして笑うと、ユオシェンの胸の先端に指を這い寄らせ、触れるか触れないかのもどかしい位置を爪の先で弾き始めた。 「ひっ……♡ ぁ、ん、ッ……ぅう…………っ♡」  耐えているつもりなのだろうが、完全に起きていることがバレバレの反応でユオシェンは声を漏らし、体をくねらせる。  これでは最初から気付かれていたのも無理はない。こんな可愛い恋人の姿を見知らぬカスたちに見られたというのは大いに腹立たしいが。  苛立ちのままにシイナはユオシェンの胸の先端をつねり上げる。 「ぁ、ッ、あぁ……ッ……んんっ……♡♡♡」  思わず素直に喘いでしまってから、寝たふりをしなければと思い出してユオシェンは口をきつく閉じる。  これで騙せているつもりなら、間抜けにもほどがある。どんな幼い野良犬だってもう少しマシな騙し方をするだろう。  興奮で顔を赤らめ、耐えるように目をぎゅっと閉じているユオシェンに不安すら抱きながら、シイナはもう片側の胸の絆創膏に手をかけた。 「ン…ぃ、あ”ぁあっ………♡♡♡」  勢いよく絆創膏を剥ぎ取ると、それだけでユオシェンは軽く達したようで、シイナの下で体をびくんと跳ねさせる。 「一応もう一度聞くが、お前は寝てるんだよなァ、ハニー?」 「……」 「じゃあ今から好き放題するから覚悟しろよ?」 「ッ…………♡」  怯えと期待からか、ユオシェンの体がびくんと震える。快楽に素直すぎるその反応を眺めながら、シイナは舌を出すと、浅く上下する左胸に吐息を当てた後、べろりとその先端を舐め上げた。 「ッ、ぁ~~~~♡♡♡♡」  ユオシェンの顔がぐっとしかめられ、緩んだ口元から喘ぎ声が漏れる。シイナはそれを視線だけで確認し、休むことなく舌による愛撫を続けた。 「っ、んッ……ひっ……ぅ♡ あっ、あ……ぅう…っん、っ……♡♡」  一度緩んでしまった唇はなかなか元には戻らず、ユオシェンは口を半分だけ開いたまま、喉に力を込めて悦びの声が形にならないよう堪え続ける。  だがそれは長くは保たず、シイナの指先が右胸に触れた瞬間、積み上げた土嚢が大量の水で決壊するがごとき勢いで、ユオシェンの忍耐は快楽によって押し流された。 「ア、あぁっ、ひ、あぁあ~~~っ………♡♡♡♡」 「はは、寝言にしては随分艶っぽく啼くじゃないか」 「ッ、ん、あっ♡ そこで、喋らないでっ、んぅっ♡♡」  思わず返事をしてしまった自分には気付いていないのか、ユオシェンの目は頑なに閉じられたままだった。シイナは敢えてそれを指摘せず、無言で胸への責めを再開する。  れろれろ♡ちゅっ♡くりくりくりっ♡♡ 「あっ、ひぃっ♡ あーっ、あ、んっ、ぅ♡♡」  カリカリカリ♡♡ ぺろっ♡ ぐりぐりっ♡ ちゅっ♡ 「あ”-っ、あっ♡ ふ、んぁ♡ ひっ、ぅ、ぃ、あっ♡♡♡」  撫で上げ、舐めつけ、捏ね回し、たまに不意打ちで歯を立てるごとにユオシェンの口からは面白いほどに嬌声が漏れ、体は反り返ってもっと胸をいじめてくれと主張する。 「気持ちいいなァ? 寝てるはずなのになァ?」 「ね、ねてるっ♡ 寝てるしっ♡ あっ、ぁ、ん……ぅう♡♡」 「そうだな、寝てるなァ。じゃあ起きるまでこのままずーっといじめてやってもいいかもなァ?」 「ひっ………」  強すぎる快楽の波にさらされ、ユオシェンの口から小さく悲鳴が漏れる。シイナはすかさず甘く囁いた。 「でも、今起きたら本番をしてやってもいいんだけどなァ? 今日のお詫びにお前のやりたいプレイ全部やってもいい気分なんだがなァ?」 「えっ……」  ぴたりと動きを止めて悩み始めたユオシェンの顔に己の顔を近づけ、シイナは触れるほどの距離で促した。 「ほら、口開け。キスしたくないのか?」 「………うぅ」  数秒の逡巡の後、ユオシェンは口を開き、シイナからのキスを受け入れる。だが数度舌を絡めたところでシイナは何かに気付いたように動きを止めると、キスを中断してユオシェンの頬をつねり上げた。 「おい、馬鹿ハニー」 「ひ、ひゃい……?」  氷点下の声色で凄まれ、ユオシェンは恐る恐る目を開ける。明らかに強い怒りと苛立ちで顔を歪めているシイナがそこにはいた。 「テメェ、飲むなって言ったのに酒飲みやがったな?」 「うっ」  空いている左手で、シイナは自分の唇を軽く拭う。口の中に残っていたアルコールの味でバレたのだ、とユオシェンが悟った時にはもう全てが遅かった。 「予定変更だ。テメェにはキツいお仕置きをくれてやる」

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