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#95: 動き出す運命と愛の聖域: 記憶を取り戻したおじ様と、屋敷に集う家族
ニューヨーク、ペンドルトン本家。
厳しい冬の寒さの中、保護されたジュリアとツェー(Tseh)は、本家の一角で静かな日々を送っていた。
そんなある午後、ツェーの元にシカゴから一通の手紙が届いた。差出人はルーシャだった。
手紙を読み進めるうちに、ツェーの顔色が変わった。震える指で紙を握りしめ、声も出せなくなる。
「……どうしたの?」
隣にいたジュリアに促され、ツェーは意を決して手紙の内容を全て打ち明けた。
ルーシャがジミーの子を身ごもっていること、ジミーが責任を放棄して逃げ出したこと、そしてこれまで隠し続けていたDVの数々——。
ジュリアの表情が凍りついた。
「あの男……ルーシャまで……」
ジュリアは唇を噛みしめ、震える声で言った。
「ツェー、これをジャービス様に伝えましょう。今、ルーシャを救えるのは彼しかいない」
二人が書斎を訪れると、ジャービスは静かに手紙に目を通した。
重い沈黙が部屋を包む。
読み終えたジャービスの指が、わずかに震えていた。養父としての静かな怒りと、ルーシャへの深い憂いがその瞳に浮かんでいる。
——ルーシャが、今、そんな地獄の中にいるのか。
「すぐにシカゴへ向かう。ツェー、ついてきてくれるな」
その言葉には、迷いもためらいもなかった。愛した者を守るため、そして家族を救うため——ジャービスは迷わず行動を起こした。
◇
シカゴの小さなアパートで、ジャービスとツェーを待っていたのは身重のルーシャと、同じくふくらみ始めたお腹を抱えたレオノラの姿だった。
レオノラはジャービスの顔を見るなり、自らのお腹にそっと手を添え、静かな声で切り出した。
「このお腹の子は、あなたの子です」
その一言に、ジャービスは息を飲んだ。記憶を失っていたあの日々、二人の間に確かに結ばれていた命だった。
「……長い間、気づかずにいてすまなかった」
ジャービスは低く掠れた声でそう言うと、レオノラの肩を引き寄せ、そっと抱きしめた。レオノラは少し照れたように目を逸らしながらも、その胸に大人しく身を預けた。
その後、ジャービスはルーシャに向き直り、静かに全てを明かした。自分が「アルバート」だったこと、ロンドンの動物園はペンドルトン・グループが経営しており、記憶を失う前、自分はその一環で現地に赴いていたこと。そして不慮の事故に巻き込まれ、全ての記憶を失ってしまっていたこと——。
話を聞き終えたルーシャの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
「あなただったんですね……全部、あなただったんですね……っ」
震える声でそう呟くと、ルーシャは堪えきれずにジャービスの胸に飛び込んだ。ジャービスはそんなルーシャを強く、優しく抱き締め返した。大きな手が、震える背中を何度も撫でる。
その光景を少し離れたところから見ていたレオノラが、大きくなり始めたお腹を庇うようにしながら、不満そうにジャービスのコートの袖を引っ張った。
「……ちょっと。盛り上がってるのはいいけどーぉ、こっちも忘れないでよねっ!」
拗ねたような、でも少し甘えた響きのある声。ジャービスはハッとしてルーシャを離し、慌ててレオノラの方へ向き直った。
「あ……すまない、レオノラ」
その慌てぶりに、ルーシャも涙まじりに小さく笑ってしまう。部屋の空気が、ふっと柔らかくなった。
ジャービスは二人のオメガと、そのお腹に宿る二人の我が子を交互に見つめ、静かに息を吐いた。
そして彼は、ルーシャの子供の父親であるジミー・マクブライドの問題を、一族の力を使って決着させた。
ジャービスはマクブライド家の当主に掛け合い、ジミーの行状を責め立てるのではなく、一族の恥を覆い隠すための妥協案として、「マクブライド家が所有するヨンカーズの屋敷」をペンドルトン家の管理下に置くことで合意を取り付けた。ジャービスの莫大な資産で古びた屋敷を完璧に整備し、そこを彼らの聖域としたのだった。
さらに、ルーシャは、ジュリア、そして「バンビの家」に預けられていた赤ん坊を引き取って、みんなで共に暮らさないかと提案した。
ジュリアは涙を流して快諾し、ジャービスもそれを全面的に認めた。
後日、ルーシャとジュリアは「バンビの家」を訪れた。かつてシスター・レインとリペット先生にお世話になったルーシャは、懐かしそうに目を細める。
ジュリアは震える手でシスターに頭を下げた。「あの時は、どうしても守れなかったんです……」と涙を流すジュリアに、シスターたちは「よく迎えに来てくれましたね」と優しく赤ん坊を返してくれた。
こうしてヨンカーズの大きな屋敷には、身重のルーシャとレオノラ、ジュリア、そしてジュリアが引き取ってきた赤ん坊と、彼らを見守る大人たちが集まり、温かな共同生活が始まった。
やがて季節が巡り、木々が鮮やかな秋色に染まる頃。
ヨンカーズの屋敷で、レオノラとルーシャは相次いで無事に元気な赤ん坊を出産した。二人のアス・ベイビー(オメガの子供)は共にアルファだった。
ジャービスは仕事の合間を縫っては屋敷を訪れ、二人のオメガを交互に、時には同時に慈しんだ。
◇
夜が更け、レオノラと子供たちが深い眠りについた頃。
ルーシャは静まり返った屋敷の廊下を、そっと足音を殺して歩いていた。目的の部屋の前で立ち止まり、指先で軽くドアを叩く。
「……ツェー」
中からすぐに反応があった。ドアが細く開き、ツェーの顔が現れる。薄暗い灯りに照らされたその瞳は、ルーシャを見るなり、静かに熱を帯びた。
二人はかつてペンドルトンの屋敷で、誰にも言えない地獄を共に生き抜いた「運命共同体」だった。
ルーシャはレオノラを愛している。それは紛れもない真実だ。けれど、かつてペンドルトンの屋敷で使用人として虐げられていた最悪な時代から、ずっと自分を支え続けてくれたツェーへの依存と情欲は、誰にも言えない秘密のスパイスとして、今もルーシャの肌に深く刻まれていた。
「……ツェー」
暗闇の中で、二人の視線が熱く絡み合う。ルーシャが中に入るや否や、ツェーは彼の手を引く。すぐに身体を密着させ、股間を布越しに擦りつけ始めた。
最初は乾いた布ずれの音が響いていたが、すぐにルーシャの下着がじっとりと濡れ始め、淫らに張り付いていく。互いの熱と硬さが、布一枚隔てただけで生々しく伝わり、荒い息が重なり合う。
「ん……っ、はぁ……////」
ルーシャの声が甘く漏れる。ツェーはさらに腰を押しつけ、激しく擦りながら低く囁いた。
ツェーは自らルーシャの目の前でパンツを下ろした。熱く張りつめたものが飛び出し、先端からは透明な我慢汁が糸を引いて溢れ出している。
「ルーシャのも……見せて」
息を荒げたツェーが、ルーシャの下着の縁に指をかけ、ゆっくりと引き下ろし始めた。露わになっていく敏感な部分に冷たい空気が触れ、ルーシャは羞恥に全身を震わせながら身悶えた。
——と、その時だった。
——バタンッ!
部屋の扉が勢いよく開かれた。
「……何してるの? 二人って」
レオノラの冷え切った声が、暗い部屋の中に鋭く落ちた。
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終
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)ペコリ
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