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6. ICONOCLAST/廃棄(2) ※流血あり

 次の瞬間、ドンッと衝撃が襲った。  世界がひっくり返る。  ガシャガシャンッ!  背中をぶつけて、引き戸が揺れる。 「――にしてんだテメエェ!」  大森が店から飛び出した。 「ボクの方がちゃんとしてるのに!」  ――誰?  手のひらが熱い。 「テメェ……ドコのどいつだ⁉」  二郎が少女を押さえ付けて怒鳴っている。 「――何してんだ」  痛みが一瞬消えて、背筋が冷えた。  赤いスーツのシルエットが、ゆっくりと、外に出る。  蹲るイオリを一瞥しただけで、手を差し伸べるどころか、声も掛けない。  店から、もう一人飛び出した。 「ムサシ!」 「大森サン、この野郎が――」 「なんでだよおっ! そんなふっつーの男!」  叫ぶ声は、若い男にしか聞こえない。  視界がぼやけている。  手探りで、眼鏡を探す。 「お前、腹……!」 「ッす。それよりこいつ」 「おら、立て」 「真壁さんッ! ボク……ぼくが!」  落ちた眼鏡が指先に触った。  掛けようとすると、手が震える。  痛みの場所が、よくわからない。 「そんなの、真壁さんに相応しくないッ!」 「へぇ」 「真壁さん……真壁さん、真壁さんまかべさんマカベサン!」 「黙れこの野郎!」 「若頭ッ! ムサシが刺された」 「ふー……予定変更だな」  寒い。  身体が震えて、力が入らない。  勝手に涙が溢れ出して、深呼吸したくてもできない。  やっと、眼鏡をかける。 「イオリ!」  ムサシが怒った顔で、イオリを見ていた。 「ごめん……なさい……」  先に、口が動いた。  ムサシの手と、腹が、赤かった。

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