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後日談その1 均衡のその後で

 執務室の扉が閉まった瞬間、空気が変わった。ついさっきまでの王子の顔は綺麗に消え、アシュレイは椅子の背に体を預けた。 「かなり……疲れた」  珍しく弱音を漏らす。机の上には山のような書類。神殿崩壊後の再編、法整備、各地からの嘆願——見るからに終わる気配がない。 「本日の公務は、これで終了です」  淡々とした声でレオンが告げた。壁際に控えていたはずの聖騎士は、いつの間にか机のすぐ横に立っている。しかも、なぜか距離が近い。 「何を言ってる。書類は、まだこんなに残っているが」 「大丈夫です。緊急性は低いので」  即答。しかも迷いがない。 「明日に回して問題ありません」  完璧な判断を疑問に思い、アシュレイはわずかに目を細める。 「何だか、やけに手際がいいな」 「当然です」  レオンは表情一つ変えない。 「殿下の負担軽減は、最優先事項ですから」  あまりにも正論。でも、その机の端。“後回し可”と分類された書類の山が、不自然に整えられている。 (——最初から、減らすつもりだったな)  アシュレイは、口元を緩める。 「ほぅ……随分と都合のいい判断基準だ」 「効率です」  微塵も揺れない返答をした次の瞬間、レオンの手がアシュレイの手首を取る。自然な動作は、あまりにも迷いがない。 「休息も任務のうちです」  そのまま軽く引き、無理やり立ち上げられた。 「レオン?」 「このまま寝室へ行きます」  間髪入れずに連れられる。命令口調に近いのに、どこか甘い。アシュレイは小さく息を吐く。 「……お前は、本当に変わらないな」 「変わりました」  しかも即否定。そのまま距離が詰まる。 「今は、遠慮しないだけです」  低い声で答えながら指が絡む。まるで逃がさないように。それだけでアシュレイの鼓動が、わずかに跳ねた。 「お前……公の場では、完璧に距離を保つくせに」 「当然です。俺は殿下の聖騎士なので」  息が触れる近い距離に近づいたレオンの顔を、アシュレイは横目で捉えた。 「……その分——」  囁きがアシュレイの耳元に落ちる。 「ここでは、全部取り戻します」 (ああ、やっぱり。この男は計画的だ。しかも、隠す気が全然ない——)  アシュレイは、わざと一歩引く。レオンを試すように。 「だったら、私に命令しないのか? 聖騎士殿」  以前なら、“耐えろ”と縛った。今はどうするのか。レオンの目が、ほんのわずかに細くなった次の瞬間、距離がゼロになる。  一気に壁に追い込まれた。 「必要ありません。もう、止めませんから」  そのまま、手首を押さえられる。強くはない。だが、逃がす気もない力加減。アシュレイの喉が、わずかに鳴る。 「……本当に、遠慮がなくなったな」 「ええ、あなたが許した」  その言葉で、すべてが決まる。視線が絡むだけじゃなく、逃げ場はない。いや——最初から逃げる気もない。  アシュレイが、わずかに笑う。 「わかった。それなら責任を取れ」 「もちろんです」  短く告げた唇が、アシュレイの唇に重なる。深く、激しく舌が絡み合い、甘い唾液が混ざる。レオンの手がアシュレイの腰を強く掴み、身体を密着させる。日頃の疲れと安堵が混じり合い、熱い体温が互いに溶け合う。 「ん……っ」  アシュレイの吐息が漏れる。レオンの舌が深く侵入し、口内を貪るように動き回る。それは、息が苦しくなるほど激しいキスだった。  レオンの手がアシュレイのシャツの裾を捲り上げ、素肌に直接触れる。指先が背中を滑り、腰を強く引き寄せる。 「足りない……」  レオンが掠れた声で呟く。珍しく、余裕がない。 「今まで、ずっと我慢していました」  その言葉に、アシュレイの心臓が強く打つ。 「アシュレイ」  甘い口調で名前で呼ぶ。そこに、もう迷いはない。 「ここで、取り戻させてください」  請願の形をしたレオンの執着に、胸がときめく。拒否など、最初から選択肢にない。  アシュレイは目を細める。わざと、少しだけ意地悪に。 「それは……どこまでだ?」  一瞬の沈黙。そしてレオンが、はっきりと言う。 「全部です」  迷いなし。躊躇なし。そのまま抱き寄せられる。強く、逃がさないように。  アシュレイは、もう抵抗しない。むしろ、レオンに体を預ける——選んだのは自分だ。この執着もこの熱も。 「だったら、好きにしろ」  小さく許す言葉が合図になった瞬間、レオンの理性が完全に切れた。レオンはアシュレイを壁に押しつけ、唇を激しく貪る。そのせいで寝室の扉が閉まる音が、やけに遠く聞こえた。  舌が深く侵入し、口内を荒々しく掻き回す。甘い唾液が絡み合い、淫らな水音が部屋に響く。  アシュレイの吐息が漏れるたび、レオンの手がシャツを乱暴に捲り上げ、素肌に直接触れた。 「ん……っ、あ……」  アシュレイの声が甘く震える。レオンの指が背中を滑り、腰を強く掴む。身体を密着させ、硬くなった自身の欲情をアシュレイの太ももに押しつける。 「アシュレイ……」  掠れた声で名前を呼びながら、レオンはアシュレイの首筋に唇を這わせ、強く吸う。赤い痕を残すように歯を立て、舌で丁寧に舐め上げる。  熱のこもった愛撫に、アシュレイの身体がびくりと震え、細い腰が無意識にくねる。 「あぁ、熱い……」  レオンの両手がシャツのボタンを引きちぎり、素肌を露わにする。指先が胸をなぞり、硬くなった乳首を摘まんで転がす。  アシュレイの背が弓なりに反り、甘い喘ぎが漏れた。 「あっ……そこ、強い……」 「もっと、感じて」  レオンは低く囁きながら、乳首を指で強く刺激し、もう片方の手でアシュレイの腰を引き寄せる。硬く張りつめた自身の屹立を、服の隙間から直接押し当てる。  熱く滾った肉棒がアシュレイの内腿を擦り、ぬるつく先走りが布に染み込む。 「は……っ、レオン……」  アシュレイの声が甘く溶ける。レオンは我慢の限界を超え、アシュレイを抱き上げてベッドに押し倒した。  着ている服を完全に脱がせ、全裸の身体を貪るように見下ろす。 「アシュレイ、綺麗だ……」  掠れた声で呟きながら、レオンの唇が胸に降りる。乳首を強く吸い、舌で執拗に転がす。  片手でアシュレイの脚を開き、あらかじめ用意していたローションを指先にまとわせ、秘めた窄まりに指を這わせる。すでに熱くなったそこを、丁寧にほぐしながら、中指をゆっくりと沈める。 「あ……っ、深い……」  アシュレイの背が反り、腰が無意識に動く。レオンは指を増やし、激しく掻き回す。淫らな水音が部屋に響き、アシュレイの吐息がどんどん甘く乱れていく。 「もう……挿って……」 「ああ、我慢できない」  レオンは自身の硬くなった屹立をアシュレイの窄まりに押し当て、一気に根元まで埋め込んだ。 「あっ……!」  与えられる激しい快感に、アシュレイの背が弓なりに反る。レオンは低く唸りながら、激しく腰を打ちつけた。熱く狭い内部が肉棒を締めつけ、ぬるぬるとした蜜が溢れ出す。 「アシュレイ……熱い……」  激しい抽送を繰り返しながら、レオンはアシュレイの唇を奪う。舌を深く絡め、腰を容赦なく振り続ける。結合部から卑猥な水音が響き、二人の体温が溶け合う。 「もっと……奥まで……きて」  アシュレイが甘く懇願する。レオンは脚を肩に担ぎ、深く、激しく突き上げる。最奥を突くような角度で何度も中を抉り、愛液を掻き出す。 「アシュレイ……愛してる……」  掠れた声で告白しながら、レオンは最奥を強く突き、熱い精をたっぷりと注ぎ込んだ。 「あ……っ、中が熱い……」  アシュレイの身体がびくびくと痙攣し、自身も白い飛沫を放つ。レオンは射精しながらも腰を動かし続け、二度、三度と中出しを繰り返す。  荒い呼吸の中、二人は絡み合ったまま、互いの体温を感じていた。 「……まだ、足りない」  レオンが耳元で甘く囁き、再び唇を重ねる。この夜は、まだ長かった。

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